弟は離れることを、ゆるさない
その都度頼めば来てくれるだろうか。
少し痛い客のようなことを思いながらベルを押す。すると、オーダーを取りに来てくれたのは葵ではなく、悠生くんだった。
悠生くんは私を見るなり顔を明るくさせた。
「琴音さん!?うわー!嬉しいな!もしかして僕が働く姿を見に来てくれたんですか!?」
凄く勘違いをさせてしまっているのが、悠生くんの表情で見て取れた。
「……あ、うん。えっと、たまたまで。葵が働いてるって聞いたから」
葵の名前を出すと、悠生くんの顔色が一瞬曇ったように感じた。
「ああ……皇の様子を見に来たんですね」
「うん、実は葵と喧嘩しちゃって。話聞いてもらえないから」
「でも、俺達仕事中ですし、来たからって話せる保証はないですよね?」
なんだろう。
悠生くんの言い方が凄くトゲがあるように感じる。