弟は離れることを、ゆるさない
「……あ、うん。でも、話せたらいいなって思って。お仕事中なのに押しかけちゃってごめんね」
「俺は別に構いませんよ。でも、皇じゃなくて俺に会いに来てくれたら嬉しいなって思っただけです」
「……あ、うん」
悠生くんが私に向けてくれている感情が今、手に取るように分かってしまった。
同時に、私は悠生くんと同じ感情ではないと、すぐ答えが出た。でも、まだ告白はされていない。「悠生くんの気持ちに答えられない」と言うことはできない。これ以上、私に何かを期待しないでほしい。
他にもいろいろ注文はしてみたけれど、料理の注文を受けるのも、料理を運んでくれるのも全部悠生くんで終始葵と顔を合わせることはできなかった。
気づけばテーブルの上が料理だらけになっており、到底一人では食べきれない量が並んでしまっている。
こんなに食べきれない……そう思っていると、私の斜め上から「すげぇ量」と、葵の声がポツリと聞こえた。
「あ……葵!?」
振り向くとやっぱり葵で。私のテーブルを見て呆れた表情をしている。
「食べきれもしねぇのに、なにやってんだよ」
「……だって、葵が来てくれないから」
「愛しの悠生と何回も会えて嬉しかっただろ」
まるであえてそうしたかのように言う葵。
「悠生くんじゃない、私は葵に来てほしかったの……」