言葉足らず。
 アパートの敷地に入る、直前。
 もう何年も見ていなかった、その姿。
 でも、ひとめで誰だかわかってしまう。
 そんな自分が、嫌になる。

「久しぶり、なつめ。」
「…っ、」

 息が、詰まる。
 なにかを言いたいのに、うまく声が出ない。

 なんで、いるの。
 どうして、ここを知ってるの。

 会いたくなかった。
 見たくなかった。
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