降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。
でもまぁ、何となく桐生さんが“月城”呼びするのは、ちょーっと違和感があるかも。

それに、『梓』って呼ばれたからって浮かれすぎっていうか、パニックになりすぎだし。

そもそも、“女はもれなく下の名前呼び”ってパターンかもしれないじゃん。

桐生さんはそういう人なのかもしれない。

そう思ったら、スーッと冷静になっていく。


「……免疫がないのも考えものだなぁ」


これからどう桐生さんと接していけばいいのか。

せっかく知り合った……というか、お隣さんなわけだし、話すような仲になったわけだし……。

桐生さんさえ迷惑じゃなければ、夕飯のお裾分けとか……って、いやいや。ナイナイ、ありえない。さすがに気持ち悪すぎるでしょ。

美冬に相談……と思ったけど、今日バイト先が忙しいから休むって言ってたなぁ。


・・・・そんなこんなで、美冬が居ないってこともあってか、ボーッとしながら考えることを辞めた。


今日はどこにも寄らず、そのまま帰宅して、桐生さんに出会すこともなかった。

お母さんに恒例の帰宅メッセージを送って、録画してあるドラマやアニメをダラダラと観て過ごす。


「そろそろ夕飯作んなきゃ」


夕飯を作り終えて、一息ついていた時にピンポーンッとインターフォンが鳴る。

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