降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。
玄関先に居るのは桐生さんだろうなって、なんとなく思った。

モニターを確認すると、そこに居たのは言うまでもなく桐生さん。

ドッタンバッタンしながら、ちょっとお洒落な部屋着に着替える私。

いや、冷静に考えたらマジで何をしてるんだろう……ってなる。


「……って、桐生さんを待たせたらヤバいっ!!」


慌てて玄関ドアを開けると、もちろん真顔な桐生さんが立っていた。


「す、すみません。開けるの遅くなっちゃって……」

「いや、いい」


そう言いながら、今朝貸した傘と昨日のタッパーと小袋に入ったフルーツらしき物を渡してくる桐生さん。


「あ、あのぉ……」

「旨かった」

「え?」

「カレー」

「あ、それは良かった……です」


・・・・あの、このフルーツはなんでしょうか。


「やる」

「へ?」

「食いきれねぇから」

「……あ、ああ……どうも、ありがとうございます」


お裾分け……ということかな。


「あのっ!!夕飯……食べましたか?」

「いや」

「にっ、肉じゃが!!……作りすぎちゃって……あの……良かったら……その、フルーツのお礼と言いますか、お裾分けということで……」

「ああ」

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