本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第20章 3 寒い夜
亮平は一体何を言い出すの? 川口さんの事忘れられなかったのかって……。
「そ、それは……確かに忘れろって方が無理なんじゃないかな……? 勿論ヨリを戻したいって言ってるわけじゃないよ? だってそんな事は無理なの分り切ってるから……ただ、あんな別れ方をしてしまったから川口さんの事が気になってるだけだよ」
チラリと亮平を見ると何やら腕組みして物凄い顔でこっちを見ている。うう……どうして亮平相手にこんな言い訳じみた話をしなければいけないのだろう?
「と、とにかくそう言う訳だから! はい、以上っ! この話はこれでおしまいっ!」
そう言うと私はコップの水をグイッと一気に飲み干した。
「鈴音、お前……」
亮平はポカンとした顔でこちらを見ていたが、ボソリと言った。
「まぁ……別にお前がそれでいいなら俺は構わないけどな」
「うん。とにかく太田先輩との交際は無しだから。今頃はバリ島で満天の星空を眺めながらビンタンビールでも飲んでるんじゃないかな?」
それだけ言うと私は残りのビーフシチューを口に運んだ――
****
「うわっ! さっむ~いっ!! 早く帰ろう!」
ファミレスを出ると、外はもの凄い寒さだった。冷たい風が吹いてコートの中にまで冷たい風が吹き込んできそうだった。歩きながら思わずブルリと震えてしまった。
「何だ? そんなに寒いか?」
亮平は寒さに強いのか、ケロリとしている。あ、もしかして……。
「分った、亮平。さてはカイロを持ってるんじゃないの?」
「そんな物、持ってるわけ無いだろう? それよりそのキャリーケース貸せよ」
亮平は私の持っているキャリーケースのハンドルを掴むと、代わりにガラガラと引きずって歩きだした。
「……悪かったな」
「え? 何が?」
隣を歩く亮平を見上げた。
「いや、俺が余計な事を言ったから……お前、先輩の告白を受けなかったんじゃないのか?」
「亮平……」
「それにさ。おまえ、海が綺麗な場所が大好きだろう? バリ島なんかお前の理想だったんじゃないか?」
私はすぐに答える事が出来なかった。でも、ふとお姉ちゃんの顔が脳裏に浮かんだ。
「住むのと……遊びに行くのは、やっぱり別だよ」
「鈴音……」
「やっぱりお姉ちゃん置いて別の国へ行けない……かな? だって心配だから」
「別に忍の事は気にする事はないんじゃないか?」
「え?」
「俺がいるんだしさ」
亮平が白い息を吐く。
「う、うん……そうだよね……」
亮平から視線をそらせて返事をした。亮平、それってお姉ちゃんには自分がついているから、もう私は必要ないって事なの? でも、そんな事聞けなかった。もし、ああその通りだと言われたら傷付きそうだから。
その後、私と亮平は他愛も無い話をしながら家路についた——
****
家に着いたのは午後9時を過ぎていた。
「じゃあな。鈴音」
「うん、お休み」
互いに家の門の前で手を振って別れると門をくぐって、玄関の前の扉に立って呼び鈴を押した。
ピンポーン
「……」
少しの間、玄関の前で少しだけ待っていると、ガチャリと扉が開かれて中からお姉ちゃんが顔を出して来た。
「お帰りなさい、鈴音ちゃん」
「うん、ただいま」
「外はすごく寒かったでしょう? お風呂もう一度沸かし直してくるから湧いたらすぐに入った方がいいわ」
「ありがとう」
早速靴を脱いで上がると、お姉ちゃんがお風呂場へ向かって行く姿が見えた。上着を脱いでフックに掛けた時にふとテーブルの上に雑誌が広げられているのが目に入った。
「ふ~ん……お姉ちゃん雑誌読んでたんだ。何見てたのかな」
そして次の瞬間、息を飲んだ。
お姉ちゃんが開いていたページはブライダル特集のページだったから――
「そ、それは……確かに忘れろって方が無理なんじゃないかな……? 勿論ヨリを戻したいって言ってるわけじゃないよ? だってそんな事は無理なの分り切ってるから……ただ、あんな別れ方をしてしまったから川口さんの事が気になってるだけだよ」
チラリと亮平を見ると何やら腕組みして物凄い顔でこっちを見ている。うう……どうして亮平相手にこんな言い訳じみた話をしなければいけないのだろう?
「と、とにかくそう言う訳だから! はい、以上っ! この話はこれでおしまいっ!」
そう言うと私はコップの水をグイッと一気に飲み干した。
「鈴音、お前……」
亮平はポカンとした顔でこちらを見ていたが、ボソリと言った。
「まぁ……別にお前がそれでいいなら俺は構わないけどな」
「うん。とにかく太田先輩との交際は無しだから。今頃はバリ島で満天の星空を眺めながらビンタンビールでも飲んでるんじゃないかな?」
それだけ言うと私は残りのビーフシチューを口に運んだ――
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「うわっ! さっむ~いっ!! 早く帰ろう!」
ファミレスを出ると、外はもの凄い寒さだった。冷たい風が吹いてコートの中にまで冷たい風が吹き込んできそうだった。歩きながら思わずブルリと震えてしまった。
「何だ? そんなに寒いか?」
亮平は寒さに強いのか、ケロリとしている。あ、もしかして……。
「分った、亮平。さてはカイロを持ってるんじゃないの?」
「そんな物、持ってるわけ無いだろう? それよりそのキャリーケース貸せよ」
亮平は私の持っているキャリーケースのハンドルを掴むと、代わりにガラガラと引きずって歩きだした。
「……悪かったな」
「え? 何が?」
隣を歩く亮平を見上げた。
「いや、俺が余計な事を言ったから……お前、先輩の告白を受けなかったんじゃないのか?」
「亮平……」
「それにさ。おまえ、海が綺麗な場所が大好きだろう? バリ島なんかお前の理想だったんじゃないか?」
私はすぐに答える事が出来なかった。でも、ふとお姉ちゃんの顔が脳裏に浮かんだ。
「住むのと……遊びに行くのは、やっぱり別だよ」
「鈴音……」
「やっぱりお姉ちゃん置いて別の国へ行けない……かな? だって心配だから」
「別に忍の事は気にする事はないんじゃないか?」
「え?」
「俺がいるんだしさ」
亮平が白い息を吐く。
「う、うん……そうだよね……」
亮平から視線をそらせて返事をした。亮平、それってお姉ちゃんには自分がついているから、もう私は必要ないって事なの? でも、そんな事聞けなかった。もし、ああその通りだと言われたら傷付きそうだから。
その後、私と亮平は他愛も無い話をしながら家路についた——
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家に着いたのは午後9時を過ぎていた。
「じゃあな。鈴音」
「うん、お休み」
互いに家の門の前で手を振って別れると門をくぐって、玄関の前の扉に立って呼び鈴を押した。
ピンポーン
「……」
少しの間、玄関の前で少しだけ待っていると、ガチャリと扉が開かれて中からお姉ちゃんが顔を出して来た。
「お帰りなさい、鈴音ちゃん」
「うん、ただいま」
「外はすごく寒かったでしょう? お風呂もう一度沸かし直してくるから湧いたらすぐに入った方がいいわ」
「ありがとう」
早速靴を脱いで上がると、お姉ちゃんがお風呂場へ向かって行く姿が見えた。上着を脱いでフックに掛けた時にふとテーブルの上に雑誌が広げられているのが目に入った。
「ふ~ん……お姉ちゃん雑誌読んでたんだ。何見てたのかな」
そして次の瞬間、息を飲んだ。
お姉ちゃんが開いていたページはブライダル特集のページだったから――