本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第20章 4 私が描く結婚式は
「え……?」
ドクン
そのページを目にした時、私の心臓が大きく鳴った。お姉ちゃんが開いていたページは一面ブライダル特集で埋め尽くされていた。最近トレンドの結婚式スタイルから流行のドレス。新婚旅行は何所がお勧めか……等々、紹介されている。
「お姉ちゃん……やっぱり……」
亮平と結婚が決まったの? それならそうとどうして私に教えてくれないの? それとも直人さんと別れてしまった私に気を遣って……?
それにしたって亮平も亮平だ。もうすぐ結婚する事が決まっているなら、私と食事している場合じゃないでしょう? これ以上私はお姉ちゃんに誤解されたくないし、折角元通りの関係に戻れたのだから。もうあの時のような思いは二度としたくは無いのに。
「鈴音ちゃん、お待たせ~お風呂沸かし直して来たから着がえの準備して来たら? ……あら、どうしたの?何 見てるの? ああ……これね?」
お姉ちゃんは私が雑誌のページに釘付けになっていることに気付いた。
「お姉ちゃん。これって……」
自分でも声が震えている事が分った。
「ああ。これね? たまたま買ってきた雑誌にブライダル特集が乗っていたから眺めて頂けよ?」
「そ、そうなの?」
本当は亮平と挙げる結婚式の参考にする為に見ていたんじゃないの? どうしてもお姉ちゃんから話を聞かせて貰えないなら……こうなったら自分から尋ねるしかない。
「ねぇ……お姉ちゃん。あのね……」
「あ、そうだわ。鈴音ちゃん。鈴音ちゃんだったらどんな式を挙げたい?」
突然お姉ちゃんが尋ねてきた。
「え? わ、私?」
「ええ、そう。ホテルで式を挙げるとか、海外に行って2人きりで式を挙げるとか色々あるでしょう? ねぇ、鈴音ちゃんならどんな式を挙げたいの?」
お姉ちゃんが興味津々と言った目で私を見つめてくる。お姉ちゃん……直人さんは来月のバレンタインに式を挙げるんだよ? それなのに……私に尋ねるの?
だけど……。お姉ちゃんには全く悪気は無いんだから。そして私は直人さんを忘れなくちゃいいけない。大体、これはお姉ちゃんがリサーチの為に尋ねているのかもしれないし。
「そうだな~私だったら……」
まだ直人さんと交際していた頃、私には思い描いていた結婚式があった。
「私は、どこか海辺の近くにある緑に囲まれた小さな教会で結婚式を挙げたいかな……。そんなに豪華じゃなくても全然構わないし、大勢の人たちに祝って貰わなくてもいい。家族だけが出席するような式で十分。だって結婚するには色々お金だってかかるわけだし、新生活を始める為に式は出来るだけシンプルでもいいかな……?」
気付けば饒舌になっていた。
「なるほど、それが鈴音ちゃんの考えなのね? 確かにそういう結婚式もいいわね。ありがとう。教えてくれて」
「え?」
何だろう? お姉ちゃんの今の言葉……すごく意味深に感じた。
「あ、ごめんね。お風呂入る処だったわよね? 鈴音ちゃんの好きな入浴剤入れて来たから入ってきたら?」
お姉ちゃんは雑誌を閉じた。その態度は何だか、この話はもうこれでお終いと言っているように感じる。
「う、うん……。分った、入ってくるね」
持って来ていたキャリーケースから着がえを取り出した。
「ごゆっくりね」
「うん」
お風呂場へ行くと、浴槽からはジャスミンの香りが漂っていた。
「お姉ちゃん……わざわざ買って置いてくれたのかな?」
早速衣類を脱いで脱衣籠に入れると、私はお風呂場のドアを開けた――
「ふ~やっぱりお風呂は最高だな」
ジャスミンの香りが漂うお湯に身体を浸していると1日の疲れが吹き飛ぶ気がする。
「やっぱり結婚したら亮平はこの家に住むんだよね……。と言う事は私が使っていた部屋は亮平の部屋になるのかな……? あ、でも寝室は一緒だろうし……」
無性に空しくなってきた。来月、直人さんは結婚する。そして恐らくお姉ちゃんと亮平も……。
私1人だけが取り残されてしまったような感じがして、少しだけ訳の分からない涙が出た――
ドクン
そのページを目にした時、私の心臓が大きく鳴った。お姉ちゃんが開いていたページは一面ブライダル特集で埋め尽くされていた。最近トレンドの結婚式スタイルから流行のドレス。新婚旅行は何所がお勧めか……等々、紹介されている。
「お姉ちゃん……やっぱり……」
亮平と結婚が決まったの? それならそうとどうして私に教えてくれないの? それとも直人さんと別れてしまった私に気を遣って……?
それにしたって亮平も亮平だ。もうすぐ結婚する事が決まっているなら、私と食事している場合じゃないでしょう? これ以上私はお姉ちゃんに誤解されたくないし、折角元通りの関係に戻れたのだから。もうあの時のような思いは二度としたくは無いのに。
「鈴音ちゃん、お待たせ~お風呂沸かし直して来たから着がえの準備して来たら? ……あら、どうしたの?何 見てるの? ああ……これね?」
お姉ちゃんは私が雑誌のページに釘付けになっていることに気付いた。
「お姉ちゃん。これって……」
自分でも声が震えている事が分った。
「ああ。これね? たまたま買ってきた雑誌にブライダル特集が乗っていたから眺めて頂けよ?」
「そ、そうなの?」
本当は亮平と挙げる結婚式の参考にする為に見ていたんじゃないの? どうしてもお姉ちゃんから話を聞かせて貰えないなら……こうなったら自分から尋ねるしかない。
「ねぇ……お姉ちゃん。あのね……」
「あ、そうだわ。鈴音ちゃん。鈴音ちゃんだったらどんな式を挙げたい?」
突然お姉ちゃんが尋ねてきた。
「え? わ、私?」
「ええ、そう。ホテルで式を挙げるとか、海外に行って2人きりで式を挙げるとか色々あるでしょう? ねぇ、鈴音ちゃんならどんな式を挙げたいの?」
お姉ちゃんが興味津々と言った目で私を見つめてくる。お姉ちゃん……直人さんは来月のバレンタインに式を挙げるんだよ? それなのに……私に尋ねるの?
だけど……。お姉ちゃんには全く悪気は無いんだから。そして私は直人さんを忘れなくちゃいいけない。大体、これはお姉ちゃんがリサーチの為に尋ねているのかもしれないし。
「そうだな~私だったら……」
まだ直人さんと交際していた頃、私には思い描いていた結婚式があった。
「私は、どこか海辺の近くにある緑に囲まれた小さな教会で結婚式を挙げたいかな……。そんなに豪華じゃなくても全然構わないし、大勢の人たちに祝って貰わなくてもいい。家族だけが出席するような式で十分。だって結婚するには色々お金だってかかるわけだし、新生活を始める為に式は出来るだけシンプルでもいいかな……?」
気付けば饒舌になっていた。
「なるほど、それが鈴音ちゃんの考えなのね? 確かにそういう結婚式もいいわね。ありがとう。教えてくれて」
「え?」
何だろう? お姉ちゃんの今の言葉……すごく意味深に感じた。
「あ、ごめんね。お風呂入る処だったわよね? 鈴音ちゃんの好きな入浴剤入れて来たから入ってきたら?」
お姉ちゃんは雑誌を閉じた。その態度は何だか、この話はもうこれでお終いと言っているように感じる。
「う、うん……。分った、入ってくるね」
持って来ていたキャリーケースから着がえを取り出した。
「ごゆっくりね」
「うん」
お風呂場へ行くと、浴槽からはジャスミンの香りが漂っていた。
「お姉ちゃん……わざわざ買って置いてくれたのかな?」
早速衣類を脱いで脱衣籠に入れると、私はお風呂場のドアを開けた――
「ふ~やっぱりお風呂は最高だな」
ジャスミンの香りが漂うお湯に身体を浸していると1日の疲れが吹き飛ぶ気がする。
「やっぱり結婚したら亮平はこの家に住むんだよね……。と言う事は私が使っていた部屋は亮平の部屋になるのかな……? あ、でも寝室は一緒だろうし……」
無性に空しくなってきた。来月、直人さんは結婚する。そして恐らくお姉ちゃんと亮平も……。
私1人だけが取り残されてしまったような感じがして、少しだけ訳の分からない涙が出た――