本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第20章 9 偶然…?
亮平から直人さんの名前が出てきたときは驚いた反面、ああ……やっぱりっていう気持ちの方が強かった。そんな私の気持ちが亮平に伝わったのか、不思議そうな顔でこちらを見ている。
「鈴音……」
「な、何?」
「いや……突然川口の名前を出しても驚かないんだなって思って……」
「そ、そんな事無いよ。滅茶苦茶驚いているから」
「そうかぁ……?」
「あ、ほらほら! 前見て! 信号青に変わってるよ」
「あ、ああ。そうだな」
亮平は再びアクセルを踏んだ。
「俺は銀行マンだから常に日経平均株価とか……経済ニュースを見るようにしているんだけど川口家電の株が急に上がったんだよ」
「アハハハ……そうなの? 私は特に財テクの類は一切していないからね〜日経平均は気にしていなかったよ。でもそれは良かったじゃない」
「まぁそうかも知れないが何で株が上がったかそれじゃ知らないか。まぁ、テレビでニュースを流すレベルでもないからな」
「ふ〜ん……」
曖昧に返事をしながら、私は心の中で別の事を考えていた。どうしてこんなにタイミングが良いのだろう?まるで何かに申し合わせたように絶妙だ。私はこの偶然の出来事に正直驚いていた。
「ふ〜んじゃないぞ? 何で株が上がったか気にならないのか?」
「それよりも亮平は川口家電の事を気にかけていたの?」
「ああ……まぁな」
「……そう」
「それで川口家電の事なんだが……あいつ、社長に就任したらしいぞ」
あいつ……直人さんの事だ。
「だから株が上がったんだね」
「鈴音は驚かないのか? あいつが社長に就任した話」
「え? あ、確かに驚いていはいるけどいずれ後を継ぐ人だったんだから社長になっても当然なんじゃないの?」
「しかし、不思議だな……常磐商事と合併する話だったのに取りやめになったのか? それとも何らかの取引があって常磐商事が金を積んでそのまま川口家電を残したのか? もしくは常盤商事とは手が切れて別の会社と……」
「……」
私は黙って話を聞きながら昼間の出来事を思い出していた。
「おい、鈴音。聞いているのか? ぼ〜っとしているみたいだけど」
「え? も、勿論聞いてるよ?」
「そうかぁ……? な~んか上の空に見えるけど……?」
「ね、ねぇ。それよりも話って川口家電の事だったの?」
「ああ、そうだ。一応お前の耳にも入れて置いた方が良さそうだと思ったからな」
「そうなんだ、ありがと」
その後は2人で他愛も無い話をしながら、私はマンション前まで亮平に車で送ってもらた――
****
「ありがとう、送ってくれて」
助手席から降りると運転席に回って亮平にお礼を言った。
「いや、別に構わないさ。運転するの好きだしな」
「なら今度お姉ちゃんをドライブにでも誘ってあげなよね。何か私ばかり乗せて貰っている気がするから」
亮平は何故か無言で少しの間、私の顔を見ている。
「な、何?」
「いや、何でもない。まぁ……そうだな。考えておく。それじゃあな」
「うん、気を付けて帰ってね」
「分ってるよ」
それだけ言う亮平は車の窓を閉め、走り去って行った。
「寒っ! 早く部屋に入ろう」
身を縮込ませると、私はすぐにマンションの中へ入った。
「ただいま~」
玄関の鍵を開け、電気をつけるとすぐに部屋のリモコンに手を伸ばしてエアコンをつけた。
「お風呂お風呂……」
そしてバスルームへ向かうと、浴槽にお湯を入れながらお風呂に入る準備を済ませた。
それから30分後――
「ふう~いいお湯……」
湯船に浸かりながら檜の香りがするお湯をすくって身体にかけながら、私は今日の出来事を思い出していた。
「まさか……あんな偶然があるなんて……」
あの時、ファミレスで支払いをする時に彼が制服の胸元に付けていた名札に始めて気が付いた。
彼の名札には……『川口』と書かれていた――
「鈴音……」
「な、何?」
「いや……突然川口の名前を出しても驚かないんだなって思って……」
「そ、そんな事無いよ。滅茶苦茶驚いているから」
「そうかぁ……?」
「あ、ほらほら! 前見て! 信号青に変わってるよ」
「あ、ああ。そうだな」
亮平は再びアクセルを踏んだ。
「俺は銀行マンだから常に日経平均株価とか……経済ニュースを見るようにしているんだけど川口家電の株が急に上がったんだよ」
「アハハハ……そうなの? 私は特に財テクの類は一切していないからね〜日経平均は気にしていなかったよ。でもそれは良かったじゃない」
「まぁそうかも知れないが何で株が上がったかそれじゃ知らないか。まぁ、テレビでニュースを流すレベルでもないからな」
「ふ〜ん……」
曖昧に返事をしながら、私は心の中で別の事を考えていた。どうしてこんなにタイミングが良いのだろう?まるで何かに申し合わせたように絶妙だ。私はこの偶然の出来事に正直驚いていた。
「ふ〜んじゃないぞ? 何で株が上がったか気にならないのか?」
「それよりも亮平は川口家電の事を気にかけていたの?」
「ああ……まぁな」
「……そう」
「それで川口家電の事なんだが……あいつ、社長に就任したらしいぞ」
あいつ……直人さんの事だ。
「だから株が上がったんだね」
「鈴音は驚かないのか? あいつが社長に就任した話」
「え? あ、確かに驚いていはいるけどいずれ後を継ぐ人だったんだから社長になっても当然なんじゃないの?」
「しかし、不思議だな……常磐商事と合併する話だったのに取りやめになったのか? それとも何らかの取引があって常磐商事が金を積んでそのまま川口家電を残したのか? もしくは常盤商事とは手が切れて別の会社と……」
「……」
私は黙って話を聞きながら昼間の出来事を思い出していた。
「おい、鈴音。聞いているのか? ぼ〜っとしているみたいだけど」
「え? も、勿論聞いてるよ?」
「そうかぁ……? な~んか上の空に見えるけど……?」
「ね、ねぇ。それよりも話って川口家電の事だったの?」
「ああ、そうだ。一応お前の耳にも入れて置いた方が良さそうだと思ったからな」
「そうなんだ、ありがと」
その後は2人で他愛も無い話をしながら、私はマンション前まで亮平に車で送ってもらた――
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「ありがとう、送ってくれて」
助手席から降りると運転席に回って亮平にお礼を言った。
「いや、別に構わないさ。運転するの好きだしな」
「なら今度お姉ちゃんをドライブにでも誘ってあげなよね。何か私ばかり乗せて貰っている気がするから」
亮平は何故か無言で少しの間、私の顔を見ている。
「な、何?」
「いや、何でもない。まぁ……そうだな。考えておく。それじゃあな」
「うん、気を付けて帰ってね」
「分ってるよ」
それだけ言う亮平は車の窓を閉め、走り去って行った。
「寒っ! 早く部屋に入ろう」
身を縮込ませると、私はすぐにマンションの中へ入った。
「ただいま~」
玄関の鍵を開け、電気をつけるとすぐに部屋のリモコンに手を伸ばしてエアコンをつけた。
「お風呂お風呂……」
そしてバスルームへ向かうと、浴槽にお湯を入れながらお風呂に入る準備を済ませた。
それから30分後――
「ふう~いいお湯……」
湯船に浸かりながら檜の香りがするお湯をすくって身体にかけながら、私は今日の出来事を思い出していた。
「まさか……あんな偶然があるなんて……」
あの時、ファミレスで支払いをする時に彼が制服の胸元に付けていた名札に始めて気が付いた。
彼の名札には……『川口』と書かれていた――