本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第20章 19 2人の思い描く結婚式
この電話番号とメールアドレス……ひょっとして彼は私と連絡を取り合いたいのだろうか? でもどうして? その時、不意に亮平が振り返って私を見た。
「どうした? 鈴音?」
「ううん、何でもないっ!」
慌てて握りしめていたメモ紙をポケットの中に突っ込んだ。……やっぱり彼には悪いけど連絡は出来ない。だって、そんな事をすれば、私は――
家に帰ったお姉ちゃんはちょっと疲れたから昼寝をしたいと言って2階の自分の部屋にあがってしまったのでリビングには私と亮平が残された。
「さっきファミレスでお茶してきたばかりだけど、何か飲む?」
テーブルの上に出しておいたおせんべいに手を伸ばしている亮平に尋ねた。
「そうだな……お茶淹れてくれるか? 出来れば日本茶で」
「はいはい」
早速台所へ行くと、やかんにお水を入れてガス台にかけた。
「ねぇ~緑茶とほうじ茶、それに玄米茶があるけど、どのお茶が良い?」
「それじゃ玄米茶がいいな」
「はい、了解」
食器棚から玄米茶を取り出し、急須に入れた処で丁度お湯が沸いたので私は早速2人分のお茶を湯呑に注いだ。
「はい、どうぞ」
コトンと湯気の立つ湯呑を亮平の前に置いて上げた。
「お、サンキュー」
亮平は嬉しそうに湯呑に手を伸ばすと早速口を付けた。
「んまい」
「そう? それは良かったね」
亮平の向かい側の椅子に座る。
「あ、鈴音。さっき忍と話し合ったんだけどな、俺たち7月に式を挙げたいと思ってるんだ。だからさ、早急に結婚式プラン立ててくれよ。3カ月もあれば余裕だろう? 俺達は大きい式は挙げるつもりないし、式に人を呼ぶつもりもない。静かな結婚式にしようと考えているんだ。だがお前は式に出ろよ? 何しろお前のプランで式を挙げるんだから……。いや~どんな結婚式プランを立ててくれるのか楽しみだな~」
その言葉に仰天した。
「ちょっと待ってよ! あと3カ月しかないじゃない! それなのに私1人に決めさせる訳!? 酷いじゃない!」
「何言ってるんだよ? だったらお前のいる会社でウェディングプラン考えてくれればいいだろう? 鈴音のいる代理店でウェディングプランに申し込めば、お前の営業成績も評価されるだろう?」
「確かにやってはいるけど……」
「な? 俺達は結婚式を挙げられる、そして鈴音は営業成績が上がる。一石二鳥だと思わないか?」
「ううう……わ、分ったよ……」
結局営業成績が上がる……この魅力的な言葉に私は折れてしまった。だけど、私にはどうしても気になることがあった。
「でもいいの? 本当は大勢の人たちに結婚を祝ってもらいたいんじゃないの……?」
「ああ、いいんだ。何しろまだ忍は精神が色々不安定だから。大勢の人達の前に出すわけにはいかないだろう?」
確かに亮平の話はもっともだけど……。まだ気になることがある。この話はお姉ちゃんの前では出来ない話だ。
「あのさ、亮平。気を悪くしないで聞いてね?」
「何だよ。深刻そうな顔して」
「おじさんとおばさん、よくお姉ちゃんとの結婚許したね?」
2階で寝ているお姉ちゃんに気付かれない様に小声で尋ねた。
「あ? あ、ああ。そうだな」
亮平は曖昧な返事をする。
「ちょと……何? 今の返事。なんか怪しいな~おじさんとおばさんはお姉ちゃんの事反対していたじゃない。良く2人の結婚を認めてくれたよね?」
「ああ。俺達の熱い気持ちがようやく2人に通じたんだよ」
「ふ~ん。でもそしたら私も親戚になる訳だからおじさんとおばさんに挨拶しておかないとね」
「いや、別に挨拶なんかいいって」
「何で? どうしてよ」
「父さんも母さんも今日本にいないからな」
「えええっ!? ど、どうしてよっ! まさか今度は海外旅行にでも行ってるの?」
「まさかのその通りさ。先月父さんは完全に仕事を辞めたんだ。それで2人で長年の夢だった船旅に出発したのさ。つい2週間ほど前の事だ。しかも聞いて驚けよ? なんと半年コースなんだから」
亮平の言葉は驚きを通り越して衝撃だった。
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ! 半年って事は……11月でしょう? まさか亮平はおじさんもおばさんも結婚式に参加させないの!?」
「ああ、2人はそれで構わないって言ってるからな。大体俺の話聞いてたのか? 式に出るのは鈴音だけだって言ったはずだけど?」
「だけど……どうして7月なのよ……」
「忍は8月が誕生日だろ?だから1つ年を取る前に結婚したいんだってよ。俺が5歳下だから色々気にしてるんだよ。分るだろう?」
「わ、分ったよ……」
「よし、それじゃ早速今から2人で調べようぜ。早く鈴音の勤務先の両行会社のHP一緒に見ようぜ」
亮平がウキウキしながら言う。……余程お姉ちゃんとの結婚式が楽しみなのかもしれない。そこで私はリビングに置いてあるノートパソコンをテーブルの上に置くと、電源を入れて、お姉ちゃんが目覚めるまで2人でウェディングプランに目を通した。
結局私は彼に連絡を入れる事はしなかった。
再び再会する、その時まで――
「どうした? 鈴音?」
「ううん、何でもないっ!」
慌てて握りしめていたメモ紙をポケットの中に突っ込んだ。……やっぱり彼には悪いけど連絡は出来ない。だって、そんな事をすれば、私は――
家に帰ったお姉ちゃんはちょっと疲れたから昼寝をしたいと言って2階の自分の部屋にあがってしまったのでリビングには私と亮平が残された。
「さっきファミレスでお茶してきたばかりだけど、何か飲む?」
テーブルの上に出しておいたおせんべいに手を伸ばしている亮平に尋ねた。
「そうだな……お茶淹れてくれるか? 出来れば日本茶で」
「はいはい」
早速台所へ行くと、やかんにお水を入れてガス台にかけた。
「ねぇ~緑茶とほうじ茶、それに玄米茶があるけど、どのお茶が良い?」
「それじゃ玄米茶がいいな」
「はい、了解」
食器棚から玄米茶を取り出し、急須に入れた処で丁度お湯が沸いたので私は早速2人分のお茶を湯呑に注いだ。
「はい、どうぞ」
コトンと湯気の立つ湯呑を亮平の前に置いて上げた。
「お、サンキュー」
亮平は嬉しそうに湯呑に手を伸ばすと早速口を付けた。
「んまい」
「そう? それは良かったね」
亮平の向かい側の椅子に座る。
「あ、鈴音。さっき忍と話し合ったんだけどな、俺たち7月に式を挙げたいと思ってるんだ。だからさ、早急に結婚式プラン立ててくれよ。3カ月もあれば余裕だろう? 俺達は大きい式は挙げるつもりないし、式に人を呼ぶつもりもない。静かな結婚式にしようと考えているんだ。だがお前は式に出ろよ? 何しろお前のプランで式を挙げるんだから……。いや~どんな結婚式プランを立ててくれるのか楽しみだな~」
その言葉に仰天した。
「ちょっと待ってよ! あと3カ月しかないじゃない! それなのに私1人に決めさせる訳!? 酷いじゃない!」
「何言ってるんだよ? だったらお前のいる会社でウェディングプラン考えてくれればいいだろう? 鈴音のいる代理店でウェディングプランに申し込めば、お前の営業成績も評価されるだろう?」
「確かにやってはいるけど……」
「な? 俺達は結婚式を挙げられる、そして鈴音は営業成績が上がる。一石二鳥だと思わないか?」
「ううう……わ、分ったよ……」
結局営業成績が上がる……この魅力的な言葉に私は折れてしまった。だけど、私にはどうしても気になることがあった。
「でもいいの? 本当は大勢の人たちに結婚を祝ってもらいたいんじゃないの……?」
「ああ、いいんだ。何しろまだ忍は精神が色々不安定だから。大勢の人達の前に出すわけにはいかないだろう?」
確かに亮平の話はもっともだけど……。まだ気になることがある。この話はお姉ちゃんの前では出来ない話だ。
「あのさ、亮平。気を悪くしないで聞いてね?」
「何だよ。深刻そうな顔して」
「おじさんとおばさん、よくお姉ちゃんとの結婚許したね?」
2階で寝ているお姉ちゃんに気付かれない様に小声で尋ねた。
「あ? あ、ああ。そうだな」
亮平は曖昧な返事をする。
「ちょと……何? 今の返事。なんか怪しいな~おじさんとおばさんはお姉ちゃんの事反対していたじゃない。良く2人の結婚を認めてくれたよね?」
「ああ。俺達の熱い気持ちがようやく2人に通じたんだよ」
「ふ~ん。でもそしたら私も親戚になる訳だからおじさんとおばさんに挨拶しておかないとね」
「いや、別に挨拶なんかいいって」
「何で? どうしてよ」
「父さんも母さんも今日本にいないからな」
「えええっ!? ど、どうしてよっ! まさか今度は海外旅行にでも行ってるの?」
「まさかのその通りさ。先月父さんは完全に仕事を辞めたんだ。それで2人で長年の夢だった船旅に出発したのさ。つい2週間ほど前の事だ。しかも聞いて驚けよ? なんと半年コースなんだから」
亮平の言葉は驚きを通り越して衝撃だった。
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ! 半年って事は……11月でしょう? まさか亮平はおじさんもおばさんも結婚式に参加させないの!?」
「ああ、2人はそれで構わないって言ってるからな。大体俺の話聞いてたのか? 式に出るのは鈴音だけだって言ったはずだけど?」
「だけど……どうして7月なのよ……」
「忍は8月が誕生日だろ?だから1つ年を取る前に結婚したいんだってよ。俺が5歳下だから色々気にしてるんだよ。分るだろう?」
「わ、分ったよ……」
「よし、それじゃ早速今から2人で調べようぜ。早く鈴音の勤務先の両行会社のHP一緒に見ようぜ」
亮平がウキウキしながら言う。……余程お姉ちゃんとの結婚式が楽しみなのかもしれない。そこで私はリビングに置いてあるノートパソコンをテーブルの上に置くと、電源を入れて、お姉ちゃんが目覚めるまで2人でウェディングプランに目を通した。
結局私は彼に連絡を入れる事はしなかった。
再び再会する、その時まで――