君のスガタ
 そう言うと、親友は俺の右頬を殴った。

「……っいてぇんだよ」

 俺は親友が殴ってきて、左頬を殴り返した。

 俺たちの喧嘩は学校中に広まった。

 そのせいか、俺はひどい奴と認識されてしまった。

 中学の終わりまで一人で行動していた。

 こんな自分が嫌になる。

「これが事実。呆れた? こんな俺で」

 俺は自分自身の話をすべて話した。

 話を聞いた柚は目を丸くした。

 口を少し開けてから柚は声を発した。

「…呆れませんよ。話してくれて、ありがとうございます。だから、なんですね。ようやくわかりました」

 柚は口角を上げてから、俺の方を見上げた。

 顔を上げた柚は目を潤ませて、うんうんと納得したように頷いていた。

 なんだ。この顔は…安心しきったようにため息を吐いた。

「何が分かったの?」

 車のエンジン音が耳の中で通ってから、聞き返した。

 柚は微笑んだ。

「松永先輩が恋愛苦手なのは薄々感じてました。けれど、怖かったんですね、松永先輩も。
本当は優しくてどこか小さい石ころが広がっていても見えない石みたいですね」

 柚は俺の方に一歩踏み出して、笑顔で俺をずっと見てくる。
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