君のスガタ
 そんな柚の姿に眩しくて目を逸らした。

 この顔が見たかった…

「…っ…俺はあの体育館で柚を知ったんだ。覚えてない?」

 あの日は晴れているけど、曇り空が出ていて、すぐにでも雷がなりそうな天気だった。

 俺は部活を終えて、帰る時だった。

 体育館付近を歩いていたら、ダンダンとボールの音がした。

 こんな天気なのに、まだ練習でもしているのかと思い、興味本位で覗いてみた。

 一人でレシーブやパスを自主練していた。

「ああ、ここだと角度調整して、奥に飛んじゃうから微調整して。あ、そうだ。昨日撮っていた動画を見なくちゃ。私は私。完璧じゃなくても私は私。よし!」

 そう言って柚は両手で両頬をバシッと自分を勇気づけるために叩いていた。

「そう言った柚は自分で自分を鼓舞していた。それが俺にとって衝撃的だった。自分自身を勇気づけるのは当たり前のはずなのに、なぜか俺は目を奪われたんだ。その時から今までだとなんとなくテニスやっていたけど、一生懸命に自分と見つめ直して、テニスの楽しみが分かってきて、楽しくなっていた」

 俺にとって、柚の存在は大切だった。
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