別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
「綾人、ニュース見たわよ! 大変だったわね」

 この前と同じでお義母さんが、玄関のドアを開けるや否や出迎えてくれた。その声で綾人に抱っこされていた凌空が起きる。

「声が大きい」

 ムッとして綾人が返すとお義母さんは、口元に手をやる。その仕草も上品そのものだ。

「あら、ごめんなさい」

「車でたくさん寝たから大丈夫ですよ」

 フォローを入れるとお義母さんの視線が私に向いた。

「可南子さんも心配したでしょう。凌空くん連れて空港まで行ったって」

「おはよー」

「凌空くん、目が覚めたかしら?」

 とにかく玄関先からひとまずリビングに移動する。お義父さんは、お義母さんとテレビを見て心配していたものの綾人からの連絡を受けてから所用で出かけ、今はいないらしい。

「乗っていた人が、機長と副操縦士が落ち着き払って都度アナウンスしてくれたから乗客もパニックを起こすことなくいられたってインタビューで話してたわよ。機長と副操縦士の連携と技術があったから、負傷者が出ずに済んだって」

 各社が今日の事故について報じ、お義母さんは私以上に情報を得ていて詳しかった。

「機長さん、ベテランの方みたいだけれど副操縦士が冷静に状況を判断して、的確な対処をしてくれたから自分も落ち着いて着陸できたって言ってたわ。副操縦士が彼じゃなかったら、ここまでうまくいかなかったって。綾人も頑張ったのね」

 目を細め、お義母さんは息子である綾人を労う。あまり口にはしないが、お義母さんも母親として気が気ではなかっただろう。
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