別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
「キャプテンがすごかったんだ。勉強になったよ」

「副操縦士である綾人も十分、すごいよ。機長さんも褒めていたし」

 本心で告げると、綾人は穏やかに笑った。

「実はね……一瞬、ばちが当たったと思ったの」

 私は視線を落とし、膝の上でギュッと握りこぶしをつくった。

「綾人を朝、お見送りできなかったから。綾人が望んでくれたことを叶えられなかった、だから」

「そんなことない。それに可南子は俺を出迎えてくれただろ」

 声を震わせる私に、彼は力強く答えた。気付けば車は綾人の実家に着いていた。彼はハンドルから手を離し、前を向いたまま遠くを見つめる。

「正直、不安がなかったって言ったら噓になるし、焦りもした。でも可南子と凌空が待っているから絶対に全員無事に帰るって思ったんだ」

 そこで彼の顔がこちらに向けられる。

「実際、機体から降りて可南子と凌空を見つけた時、やっと実感できた。無事だった、帰ってきたんだって。だから、見送りをしてくれるのはもちろん嬉しいけれど、可南子は待っていてくれたらいいんだ。飛行機は確かに遠くまで行く。でも行って終わりじゃない。必ず帰ってくるから」

 穏やかな表情に涙腺が緩む。私はこくりと頷いた。

「うん」

 そっと綾人がこちらに身を乗り出してきて頰に触れられる。続けて贈られた優しい口づけに、ぽっかりと穴が空いていた心が満たされていった。
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