エリート外交官は溢れる愛をもう隠さない~プラトニックな関係はここまでです~
 なぜか朔夜さんの方がうれしそうに礼を言うから、苦笑する。

 朔夜さんは、意外と押しが強いところがあるのだ。
 病院で同居の話を持ちかけられたときもそうだったなあと、つい最近のことだったのにもうずっと前の出来事のように思い出して遠い目になる。

 ちなみに今私がつけているペリドットのネックレスも、実は朔夜さんが去年の誕生日にくれたものだったりする。
 今朝家を出るときに自分がプレゼントしたものだと気がついて、うれしそうにしてくれた。

 その後、店員が持ってきたものを何着も試着して(その都度朔夜さんにも見せる羽目になった)、最終的に決まったのは膝丈のシャツワンピースだ。
 衿もとがバンドカラーになっていて、シンプルだけどエレガントなデザインのもの。

 朔夜さんは他にも小物を試させたがったけれど、丁重にお断りしてなんとか諦めてもらった。このワンピースだけで、普段私が服を買うときに考える予算の十倍くらいの値段なので……。


「本当に、ありがとうございます。大切にしますね」


 店を出ながら私が心の底から決意した表情で言うと、今度は朔夜さんの方が苦く笑う。


「そんな気負わなくても、気軽に着て欲しいんだが」


 そう返した彼が、優しく目もとを緩めてさらに続ける。


「今度また一緒に出かけるときは、ぜひそれを着てくれるとうれしい」


 本当に優しい顔で朔夜さんがささやくから、私はたまらず顔を熱くする。


「わ、わかりました」


 ワンピースの入ったショップバッグを大事に抱えながら、なんとかうなずいた。

 そんな私を、朔夜さんはやはり穏やかに見つめるのだった。
< 27 / 109 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop