【短】果たして雨宮はアンニュイなのか
あたしが黙り込んでしまったせいで、辺りが静寂に包まれる。
聞こえてくるのは、激しく打ち付ける雨の音だけ。
だけどそのうちに、がらり、と教室の扉が開く音がして、その静寂は破られた。
「わー! 雨宮くんだ!」
あ、東川さん。
教室に入ってきたのは、雨宮にご執心の、クラス一の美少女。
「教科書忘れちゃったから戻ってきたんだけど、雨宮くんに会えるなんてラッキー!」
東川さんは一直線に雨宮の席へとやってくる。
そして、周りをきょろきょろと見渡した。
「あれ?」
不思議そうに、首をかしげて雨宮に聞いた。
「誰かと話してるのかと思ったけど……雨宮くん、一人?」
雨宮はすっと表情を消して、窓の外に目を向けたまま、感情のない声で答える。
「ああ、一人だよ」
なるほどね。
これが皆の言う、アンニュイでミステリアスな雨宮なのか。