【短】果たして雨宮はアンニュイなのか




どうして雨宮にだけはあたしの姿が見えるのか。

幼なじみパワーなのか、はたまた愛の力なのか。


ただ一つ、わかることがある。


あたしが幽霊になっちゃったのって、きっと、雨宮に想いを伝えないままだったからなんじゃないかって。

雨宮があたしのことを好きなのはちゃんと知ってたのに、関係が変わるのが怖くて言えないままだったんだ。


それに雨宮も雨宮だ。

あたしが死んで一年も経つのに、いまだに他に彼女もつくらないでいるなんて。

さらに離れ難くなってしまうじゃないか。



「じゃあ、私もう行くね。雨宮くん、また明日」


「……」



東川さんが行ってしまったその後。

雨宮はちょっとすねたような顔をして私を見た。



「で、光莉? 俺がずっと片思いしてる幼なじみのお前は、今の会話聞いても無反応なのかよ」


「んー。だってまだもうちょい成仏したくないもん」


「は?」



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