〜ミミコイ〜ミミから始まる10秒間
27~29-1.29-2
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【Ch.27】
徳利から、おちょこに
お酒をついでくれて
本当なら、私が
お酌しないといけないのに
推しは、いいからいいからの一点張り
「「いただきます」」
「あ、呑みやすいコレ」
お酒を一口飲んだ
推しの瞳が、ぱあぁぁぁと輝く
「そうですよね! 実はこれ
私のお気に入りの日本酒で
家に隠してた秘蔵品なんです」
「大事なお酒を
持ってきてくれたの? ありがと
ほたるちゃんも
お酒好きみたいだから
日曜日は、お酒が美味しい
お店に行こうね」
はぁうぅぅぅ……
心臓が、持たないかも
笑顔が可愛すぎる
空さん、まいちゃん
今度何かご馳走するね
こんな素敵なサプライズ
本当にありがとう!!
「ありがとうございますっ
すごい楽しみです!」
「それでさ
さっきの話……考えてくれた?
はい、あーん」
「あーん……ん! おいひ〜」
さり気なく推しが
あーんしてくれて
私も、恐れ多いのに
体が無意識に動いていて
お刺身は美味しいし
もう感情が、ぐちゃぐちゃになる
そんな中
さっきの話って事は
きっと呼び方の事だよね
りく様はダメだし
やっぱ天川さんかな?
「はい、これからはちゃんと
天川さんってお呼びしますね!
ほんと最初から、馴れ馴れしくて
本当にすみませんでした」
「まだお酒……足りてないのかな?」
「えっ?」
推しは、徳利を手に取って
私の顔をじっと見つめた後
徳利の日本酒を
一気に呑み込んで
それが、そのまま何故か
私の口に、ゆっくりと流れてくる……
は?……何が起きてるの?
とりあえず
吐き捨てる訳にも
いかないので、そのまま全部呑み込んだ
いや、コレ……ねぇ!
誰かと口移しという名のキスなんて
久々すぎて
もう言葉にならない
しかも推しと
こんな形で……
「あ、天川さんっ……!
ちょっとおいたが
過ぎませんか?
私……こーゆーの本当に
5年振りで、免疫が無いんです
まだシラフだし、勘弁して下さい」
「かわいーね
ほたるちゃん、ほっぺ真っ赤だよ?
でもさ、ほたるちゃんが悪いんだよ?
名前呼んでくれないから」
「え、それはちゃんと
天川さんって……」
「それはもっと
日本酒呑みたいって事?
さっきみたいにさ
ほら、りくって呼んでみて」
「えぇえぇぇ
そんな呼び捨てだなんて
出来まっん……っ」
ゴクッ……ゴクッ……
強引に、日本酒が
私の喉を通って行く
「ほら、あと何回
呑ませてあげたら
名前ちゃんと呼べるの?
それとも……
もっとすごい事しないとダメ?」
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【Ch.28】
ん〜そろそろ
いい加減にしてもらわないと
本当に心臓が持たない!!
「からかわないで下さいっ!
私は、りく様の善良的なファンなので
こんな事したら
同士達に、顔向け出来ません!!」
ちょっとキツく
言い過ぎたかな……
ほら、りく様も
またポカーンとしてる
「もーほんと
ほたるちゃんは、かわいーね
ほら……こっちおいで
同士思いの善良的なファンには
ファンサしないとね?」
そう言って推しに後ろから
抱き締められて
頭よしよしされてる
一応……なだめられてるのかな?
でも、ごちそうさまです!!
あぁ……こんなんシラフじゃ
もう鼻血出してたかも
いっぱい呑ませてくれてて
逆に、良かったかもしれない
「ほたるちゃんはさ
どうして俺のファンになってくれたの?」
「え、ファンになった経緯ですか?
んとー……ちょっと長いんですけど
聞いてもらえますか?」
「うん、まだ時間は
たっぷりあるから」
そう言ってくれたので
婚約破棄されて
推しに救われた話
まいちゃんに
5年間散々迷惑かけた話
説明が下手だから
長かったはずなのに
嫌な顔しないで、ずっと真剣に
話を聞いてくれた。
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【Ch.29】
ーーーーーー・・・・・
ーーーー・・・・
ーー・・
「こんな話を
お仕事で疲れてるのに、聞いて下さって
本当にありがとうございました」
「あのさ」
「は、はい!」
急な推しの真剣な声のトーンに
ビックリして、声が裏返りそうになる
空さんと話してる様な感じでも
普段私に接してくれる感じでも
お仕事のキャラの様な感じでも
きっと、どれでもない……
素の天川 りく
一体……
何を言われるんだろうかと
じっと推しを見ていると
推しは、深く深呼吸をして
こちらを真剣に見た
「そんな奴の為に、お前が泣いて
傷付かなくてもいい
お前は、俺が幸せにしてやる
もう……大丈夫だから」
なんなんだろう……
頭を、鈍器で殴られた様な衝撃に
何も言葉が出て来ない
この人の声は、本当にすごい
言葉だけで
その表現力で
私達を一気に魅了する
ただ、ただ私の目から
静かに涙が流れて
彼が、それを指で
優しく拭ってくれる……
この人は、1度きりじゃなく
まだ私を救ってくれるのか
私は、何も言わずに
彼にぎゅっと抱きついた
そんな私を、さらに抱き締めて
何も言わずに
頭を撫でてくれる
なんだかそれが
すごく心地よくて
いつの間にか
私の意識は、無くなっていた。
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【Ch.29.2】
りくside
「はぁー……
今日もよく冷えるな」
1月中旬
吐く息が白く染まる季節
見慣れた通勤路も
この時期だけは
少し違って見える
指先をこすり合わせる人
ポケットに手を突っ込んだまま歩く人
缶コーヒーで両手を温めてる人
みんな寒さと戦いながら
それぞれの朝に向かっている
春は、まだまだ遠そうだ……
「俺もコーヒーを買って行こう」
通勤時に
よくお世話になっているコンビニで
毎日飲み物を買う
だが最近
いつもと変わらない日常に
変化が訪れようとしていた
コンビニの駐車場に、車を停めると
作業着を着て、バタバタと小走りで
元気よくコンビニに
駆け込んで行く彼女
最初は、もっと余裕を持って
家を出ればいいのに
いつも見かける度に
そう思っていた
何度も
そう思っているうちに……
ドンッ
気づいたら
また目で追っていて
そのまま彼女にぶつかって
商品の棚に、なんとか掴まれた。
「すみません!
急いでたもので
おにーさん大丈夫ですか?」
心配そうな顔で
彼女が俺を見つめている
もう少し早く
家を出した方が……
いや、こんなこと言ったら
普通に気持ち悪いよな、やめよう。
「いえ、こちらこそ
ぼーっとしててすみません」
ありきたりの言葉を返して
軽く会釈し、その場を離れようと思った
その瞬間……
彼女が
あ!と、声を上げる
「あ、指切れてる……ごめんなさい!
私、絆創膏持ってるんで貼りますね」
そう言うと
慣れた手つきで
彼女は、絆創膏を貼ってくれる
あれ……しかもこれ
キング・オブジェクトXの
トア・ウルクの絆創膏
これは
結構前に声を吹き込んだ
ゲームキャラクター
しかも限定販売だったはず……
それをどうして彼女が?
「すみません
怪我の手当までしてもらって
ありがとうございます」
「いえ! そもそも私が悪いので
気にしないで下さい
あ、そうだ
今日も冷えますよね
私、今日たまたま
カイロを2つ持ってるんです!
手冷えてるから
よかったら使って下さい
じゃあ私、行きますね」
そう言うと
深々と頭を下げて
彼女は、また小動物の様に
パタパタと、小走りで走って行った
こんな大した事ない傷に
限定販売の絆創膏を貼ってくれて
手が寒いのに気が付いて
わざわざカイロをくれた……
もっと早く家を
出ればいいのになんて
言わなくてよかった
なんだか
めずらしく胸の奥がザワついた
職場に付くと、まだ胸の奥が
モヤモヤして
それを親友の空に話すと
あいつはゲラゲラと
俺の目の前で笑い出す
「あー腹痛いwwwwww
あの、人に基本無関心なお前が
絆創膏貼ってもらって
カイロもらって、何
今、胸がザワついてるの?www」
よし、決めた
一発殴り飛ばそうか……コイツ
なんで親友やってんのか
マジで分かんなくなってきた
「お前さぁ……
人が真面目に話してるのに」
「ごめん、ごめん
可愛すぎて、10代かと思ったw
ふつーに
気になってんでしょ?
その絆創膏ガールの事
それは恋の始まりだよ、りく君」
本当に嫌な言い方で
まだニヤニヤしてる
てか、絆創膏ガールってなんだよ
「恋か……
久々すぎて忘れてたわ」
仕事が忙しすぎて
こんな気持ち忘れていた
いつぶりだろうか
こんな気持ちになったのは……
「また進展したら
話聞いてやるから、頑張れよ!」
「無理。お前にだけは、絶対言いたくない」
「なんでだよー!www」
こうして数ヶ月後
俺は、彼女と再会し
彼女には内緒だが
こっそり台本を落とした。
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【Ch.27】
徳利から、おちょこに
お酒をついでくれて
本当なら、私が
お酌しないといけないのに
推しは、いいからいいからの一点張り
「「いただきます」」
「あ、呑みやすいコレ」
お酒を一口飲んだ
推しの瞳が、ぱあぁぁぁと輝く
「そうですよね! 実はこれ
私のお気に入りの日本酒で
家に隠してた秘蔵品なんです」
「大事なお酒を
持ってきてくれたの? ありがと
ほたるちゃんも
お酒好きみたいだから
日曜日は、お酒が美味しい
お店に行こうね」
はぁうぅぅぅ……
心臓が、持たないかも
笑顔が可愛すぎる
空さん、まいちゃん
今度何かご馳走するね
こんな素敵なサプライズ
本当にありがとう!!
「ありがとうございますっ
すごい楽しみです!」
「それでさ
さっきの話……考えてくれた?
はい、あーん」
「あーん……ん! おいひ〜」
さり気なく推しが
あーんしてくれて
私も、恐れ多いのに
体が無意識に動いていて
お刺身は美味しいし
もう感情が、ぐちゃぐちゃになる
そんな中
さっきの話って事は
きっと呼び方の事だよね
りく様はダメだし
やっぱ天川さんかな?
「はい、これからはちゃんと
天川さんってお呼びしますね!
ほんと最初から、馴れ馴れしくて
本当にすみませんでした」
「まだお酒……足りてないのかな?」
「えっ?」
推しは、徳利を手に取って
私の顔をじっと見つめた後
徳利の日本酒を
一気に呑み込んで
それが、そのまま何故か
私の口に、ゆっくりと流れてくる……
は?……何が起きてるの?
とりあえず
吐き捨てる訳にも
いかないので、そのまま全部呑み込んだ
いや、コレ……ねぇ!
誰かと口移しという名のキスなんて
久々すぎて
もう言葉にならない
しかも推しと
こんな形で……
「あ、天川さんっ……!
ちょっとおいたが
過ぎませんか?
私……こーゆーの本当に
5年振りで、免疫が無いんです
まだシラフだし、勘弁して下さい」
「かわいーね
ほたるちゃん、ほっぺ真っ赤だよ?
でもさ、ほたるちゃんが悪いんだよ?
名前呼んでくれないから」
「え、それはちゃんと
天川さんって……」
「それはもっと
日本酒呑みたいって事?
さっきみたいにさ
ほら、りくって呼んでみて」
「えぇえぇぇ
そんな呼び捨てだなんて
出来まっん……っ」
ゴクッ……ゴクッ……
強引に、日本酒が
私の喉を通って行く
「ほら、あと何回
呑ませてあげたら
名前ちゃんと呼べるの?
それとも……
もっとすごい事しないとダメ?」
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【Ch.28】
ん〜そろそろ
いい加減にしてもらわないと
本当に心臓が持たない!!
「からかわないで下さいっ!
私は、りく様の善良的なファンなので
こんな事したら
同士達に、顔向け出来ません!!」
ちょっとキツく
言い過ぎたかな……
ほら、りく様も
またポカーンとしてる
「もーほんと
ほたるちゃんは、かわいーね
ほら……こっちおいで
同士思いの善良的なファンには
ファンサしないとね?」
そう言って推しに後ろから
抱き締められて
頭よしよしされてる
一応……なだめられてるのかな?
でも、ごちそうさまです!!
あぁ……こんなんシラフじゃ
もう鼻血出してたかも
いっぱい呑ませてくれてて
逆に、良かったかもしれない
「ほたるちゃんはさ
どうして俺のファンになってくれたの?」
「え、ファンになった経緯ですか?
んとー……ちょっと長いんですけど
聞いてもらえますか?」
「うん、まだ時間は
たっぷりあるから」
そう言ってくれたので
婚約破棄されて
推しに救われた話
まいちゃんに
5年間散々迷惑かけた話
説明が下手だから
長かったはずなのに
嫌な顔しないで、ずっと真剣に
話を聞いてくれた。
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【Ch.29】
ーーーーーー・・・・・
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「こんな話を
お仕事で疲れてるのに、聞いて下さって
本当にありがとうございました」
「あのさ」
「は、はい!」
急な推しの真剣な声のトーンに
ビックリして、声が裏返りそうになる
空さんと話してる様な感じでも
普段私に接してくれる感じでも
お仕事のキャラの様な感じでも
きっと、どれでもない……
素の天川 りく
一体……
何を言われるんだろうかと
じっと推しを見ていると
推しは、深く深呼吸をして
こちらを真剣に見た
「そんな奴の為に、お前が泣いて
傷付かなくてもいい
お前は、俺が幸せにしてやる
もう……大丈夫だから」
なんなんだろう……
頭を、鈍器で殴られた様な衝撃に
何も言葉が出て来ない
この人の声は、本当にすごい
言葉だけで
その表現力で
私達を一気に魅了する
ただ、ただ私の目から
静かに涙が流れて
彼が、それを指で
優しく拭ってくれる……
この人は、1度きりじゃなく
まだ私を救ってくれるのか
私は、何も言わずに
彼にぎゅっと抱きついた
そんな私を、さらに抱き締めて
何も言わずに
頭を撫でてくれる
なんだかそれが
すごく心地よくて
いつの間にか
私の意識は、無くなっていた。
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【Ch.29.2】
りくside
「はぁー……
今日もよく冷えるな」
1月中旬
吐く息が白く染まる季節
見慣れた通勤路も
この時期だけは
少し違って見える
指先をこすり合わせる人
ポケットに手を突っ込んだまま歩く人
缶コーヒーで両手を温めてる人
みんな寒さと戦いながら
それぞれの朝に向かっている
春は、まだまだ遠そうだ……
「俺もコーヒーを買って行こう」
通勤時に
よくお世話になっているコンビニで
毎日飲み物を買う
だが最近
いつもと変わらない日常に
変化が訪れようとしていた
コンビニの駐車場に、車を停めると
作業着を着て、バタバタと小走りで
元気よくコンビニに
駆け込んで行く彼女
最初は、もっと余裕を持って
家を出ればいいのに
いつも見かける度に
そう思っていた
何度も
そう思っているうちに……
ドンッ
気づいたら
また目で追っていて
そのまま彼女にぶつかって
商品の棚に、なんとか掴まれた。
「すみません!
急いでたもので
おにーさん大丈夫ですか?」
心配そうな顔で
彼女が俺を見つめている
もう少し早く
家を出した方が……
いや、こんなこと言ったら
普通に気持ち悪いよな、やめよう。
「いえ、こちらこそ
ぼーっとしててすみません」
ありきたりの言葉を返して
軽く会釈し、その場を離れようと思った
その瞬間……
彼女が
あ!と、声を上げる
「あ、指切れてる……ごめんなさい!
私、絆創膏持ってるんで貼りますね」
そう言うと
慣れた手つきで
彼女は、絆創膏を貼ってくれる
あれ……しかもこれ
キング・オブジェクトXの
トア・ウルクの絆創膏
これは
結構前に声を吹き込んだ
ゲームキャラクター
しかも限定販売だったはず……
それをどうして彼女が?
「すみません
怪我の手当までしてもらって
ありがとうございます」
「いえ! そもそも私が悪いので
気にしないで下さい
あ、そうだ
今日も冷えますよね
私、今日たまたま
カイロを2つ持ってるんです!
手冷えてるから
よかったら使って下さい
じゃあ私、行きますね」
そう言うと
深々と頭を下げて
彼女は、また小動物の様に
パタパタと、小走りで走って行った
こんな大した事ない傷に
限定販売の絆創膏を貼ってくれて
手が寒いのに気が付いて
わざわざカイロをくれた……
もっと早く家を
出ればいいのになんて
言わなくてよかった
なんだか
めずらしく胸の奥がザワついた
職場に付くと、まだ胸の奥が
モヤモヤして
それを親友の空に話すと
あいつはゲラゲラと
俺の目の前で笑い出す
「あー腹痛いwwwwww
あの、人に基本無関心なお前が
絆創膏貼ってもらって
カイロもらって、何
今、胸がザワついてるの?www」
よし、決めた
一発殴り飛ばそうか……コイツ
なんで親友やってんのか
マジで分かんなくなってきた
「お前さぁ……
人が真面目に話してるのに」
「ごめん、ごめん
可愛すぎて、10代かと思ったw
ふつーに
気になってんでしょ?
その絆創膏ガールの事
それは恋の始まりだよ、りく君」
本当に嫌な言い方で
まだニヤニヤしてる
てか、絆創膏ガールってなんだよ
「恋か……
久々すぎて忘れてたわ」
仕事が忙しすぎて
こんな気持ち忘れていた
いつぶりだろうか
こんな気持ちになったのは……
「また進展したら
話聞いてやるから、頑張れよ!」
「無理。お前にだけは、絶対言いたくない」
「なんでだよー!www」
こうして数ヶ月後
俺は、彼女と再会し
彼女には内緒だが
こっそり台本を落とした。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━