〜ミミコイ〜ミミから始まる10秒間

54~56話

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【Ch.54】


部屋の時計を確認すると
時刻は17時50分


「え、あんなに時間あったのに……」

最終チェックして
鏡の前で笑顔の練習

私、もう、大丈夫……

だって
こんなに笑えてるもん

婚約破棄に絶望して
真っ暗な所に閉じこもってた
私は、もういない。


「本当にもう
大丈夫になったよ、りく」

あとは
当たって砕けたくないけど

とにかく今
出来ることを頑張る

そう思いながら
スマホをチラッと覗くと

数分前に
りくからLimeが届いていて

仕事終わったから
今から向かうね、の文字が

大丈夫にはなったけど
もちろんめちゃくちゃ緊張してる

早いけど
下に降りてよう

何かしてないと
ソワソワしてしまうから。

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【Ch.55】


下に降りると、ちょうど

りくが
タクシーから降りるのが見えた

よ、よし
冷静にね……平常心、平常心


「りく! お仕事お疲れ様です」

「え、ほたるちゃん?」

ん?
何故にその反応?

まるで信じられないと言う顔をして

私の名前を呼んだりく……

そんなに
最初のイメージ悪すぎて

今の私が
別人に見えるのかな?

それとも
そんなに私……なにか変だった?

私は、恐る恐る返事をした。


「はい……そうですけど」

「え、あ、ごめん!

綺麗になりすぎてて
一瞬……間違えたかと思って……」

自分の腕でパッと
恥ずかしそうに口元を隠す推し

あれれ?
もしかして今日は
私の方が優勢だったりします?

いつも
からかわれてばっかりだったから

これは
なんだか新鮮すぎた

推しに
綺麗すぎてとか言われて

勢いがついて
調子に乗る私……

前までなら
出てこなかった言葉が

今なら
スラスラと出てくる


「ありがとう……りくも
いつもずるいくらい素敵だよ」

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【Ch.56】


「あ、ありがと……」

さらに照れくさそうに
腕で顔を隠すりくは

心做しか
少し顔が赤いような

ほれ、ほれ
もっと恥ずかしがるがいいさ

私も
これ以上に悶えたんだから

さっきまで緊張していたのが
嘘かのように

私は今日
自分が怖いものなしに思えた。


「お店……予約してあるから行こ?

はい、どうぞお姫様」

りくは
まだ照れくさそうに
タクシーの扉を開いて

私が乗ったのを確認してから
自分も乗り込む

これ……
初めてしてもらったかも

なんだか本当に
お姫様になった気分

そんな事を考えてると

目的地も伝えてないのに
タクシーは走り出す

きっとりくが
あらかじめ
伝えておいてくれたのかな?

スムーズすぎる……

てかこの人
絶対モテるのに

どうして
フリーだったの?

空さんがいたら
解説してくれるだろうけど

今日は2人だから
今度聞いてみようかな

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