大好きな幼なじみと秘密の関係はじめます
「んふふ」
奇妙な笑いを浮かべて、頭を俺の肩に預けてくる。
さっきまでのしおらしい態度は何処ヘ行ったのか。
もうすっかり、いつものあっけらかんとした様子に戻っているみたいだ。
……ったく、この女は。
見てて飽きないというか、行動が読めないというか。
──フッ。
とその時、ふと脳にある記憶が蘇った。
……そういえば、昔も──。
それは、俺が幼稚園に入ったばかりの頃の話。
市ヶ谷家と栢野家、2つの家族で大きなショッピングモールに行った時があって。
みなみと俺は二人、いわゆる迷子になった。
迷子なくせに、その時の俺は呑気なもんだ。
なんとかなるだろとか簡単に考えて、やり過ごそうとしていた。
そんな中、みなみは違った。
『私がいるからね! 大丈夫だよ!』
予想外すぎて声も出なかった。
何度も何度も励ますように言って、みなみがぎゅっと俺の手を握ってきたから。
自分の方が怖いくせに。涙目になりながら、震える手で握るとか。
『……ありがとな』
『うん!』
本当は男の俺が護るべきなのに、ダサすぎ。
その時の自分に喝を入れてやりたいくらいだけど、そのおかげで思えたことがある。
今度は、絶対に俺がこいつの笑顔を護ってやるんだって──。