御曹司は不遇な彼女に本物の愛を注ぐ
「よく言った。なら、まずは素敵なレディーになることが最優先だな」

「へ?」


「お前の仕事に関しては、こっちから暫く休むと連絡しておく。だからお前は秘書と一緒に美容院に行ってこい。それからダンスの練習に座学に……」


「露川様、いきますよ」

「え、ぇぇぇ!?」


神宮寺さんのペースに巻き込まれ、私はワケもわからず秘書さんと共に美容院に向かうこととなった。


それにダンスに座学って?

私、これから一体何をさせられるの!?


「相染。露川の元彼を徹底的に調べておけ。露川から聞いた元彼の名前に見覚えがある」

「はい。わかりました」


「……?」

「露川様。お待たせしました」

「いえ、全然待ってないので大丈夫です」


「相染がいるから心配はいらない。気をつけて帰って来いよ」

「……はい」


車に乗る直前、神宮寺さんから頭を撫でられた。やっぱり神宮寺さんは優しい。仮の恋人の私にここまでしてくれるんだから。


って、復讐のためとはいえ神宮寺さんと恋人になったんだよね?仮とはいえ、私が神宮寺さんと付き合うなんて恐れ多い。


こんなに素敵な神宮寺さんなら相手はいくらでもいるはず。なのにどうして私なんかを選んだんだろう?
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