御曹司は不遇な彼女に本物の愛を注ぐ
「露川、大丈夫か?」

「はい。公孝にフラれて私も独り身になっちゃいました。神宮寺さんとおそろいですね。はは、はははは……っ」


「露川!?」

「あれ?なんでだろ。悲しくないはずなのに涙が……」


私のことを愛してくれなかった公孝にフラれて清々するはずなのに、どうしてか私の心は泣いていた。


今までどんな形でも必要とされてきたのが嬉しかった。けれど、私の利用価値はゼロ。その現実を突然突きつけられて、ギリギリで保っていた心が壊れてしまったんだ。

必要としていたのは所詮、「私のお金」だったんだなって思ったらフツフツと怒りが湧いてきた。


「露川、俺と復讐しないか?」

「え?」


「お前は振られたままでいいのか?悔しくないのか?今まで金の無心をされてきて、挙句には罵倒されて終わったんだぞ」

「でも私には復讐できるお金もないし、どうやって復讐していいかわかりません」


「金なら俺がいくらでも出す。だから会社の連中にも元彼にも復讐しよう。お前は強くてカッコいい女性だってことを知らしめてやろう」

「神宮寺さん……」


「どうせ死ぬなら後悔せず死んだほうがいいと思わないか?行動してから死んでも遅くはないだろ。本当はお前に死んでほしくないんだが」

「そうですね。神宮寺さん、私に力を貸してください!公孝にも会社の人も見返したいです。私はこのまま終わりたくない……!」


そうだよね。一度は諦めた命を神宮寺さんは救ってくれた。チャンスをくれたんだ。だから神宮寺さんの期待にも応えたいし、なにより私も私を貶めてきた人たちにギャフンと言わせたい。
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