御曹司は不遇な彼女に本物の愛を注ぐ
「……」

二度と声を聞きたくない男性だ。そう、相手は公孝。私の元彼だ。


数ヶ月前まで付き合ってたくせにもう私のことを忘れてしまったの? 

隼人さんには感謝しなきゃね。元彼がわからないほど別人みたいに綺麗になったのだから。


「一人ではないですわ。連れのものがいますの」

「ふーん。近くにそれらしい人はいないけど、もしかして嘘?嘘は泥棒の始まりなんだぜ〜」


「あら。貴方は嘘がお嫌いですの?」


お嬢様口調なんて私には不釣り合いだけど、ここは別人を装うため仕方のないこと。どうせあとで最高のネタばらしをするんだ。今は怒るのを我慢しなきゃ。


「嫌いだねぇ〜。お姉さん聞いてくれる?オレの元カノなんかさぁ、オレに尽くすって言って最後はオレのこと見捨てるんだぜ?あれだけオレのことが好き好き〜って言ってたくせにひどくね?」

「……それは貴方がお金の無心をしていたから愛想つかして逃げたのでは?」

「え?」


「紫音!遅くなって悪い」

「紫、音……だと?」

「いえ。隼人さんは挨拶回りをしていたのですから仕方ないですわ」

「おい。お前まさか……」


「行きましょう隼人さん」

「そうだな」

「待てよっ……!」


気付くのが遅くない?


私は公孝を無視して隼人さんと共に壇上のほうへと足を進めた。私が別人になって驚いたって顔をしてた。でも驚くのはまだこれから。
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