御曹司は不遇な彼女に本物の愛を注ぐ
「俺は神宮寺グループの息子。テレビとかネットで神宮寺誠二の名前を見たことないか?」

「神宮寺……誠二!?」


「お、その反応だとさすがのお前でも知ってるみたいだな」

「知ってるもなにも有名な方じゃないですか」


神宮寺さんの正体は御曹司だった。だからスーツもオーダーメイドってくらい高そうで、高級時計も身に付けていて、極めつけはロールスロイス。

私はそんな凄い人の家に今日からお世話になるっていうの?本当に私なんかでいいの?これは自虐なんかではなく、神宮寺さん相手なら誰しもが思うことだろう。


神宮寺グループといえば、高級マンションやタワマンをいくつも所有しており、ホテル経営をしている。どのホテルも私みたいな庶民は泊まれないけど、高級なだけあって接客も料理もお部屋、どれを取っても完璧で、料理は五年連続でミシュラン最高峰の星三だ。


最近では、別荘に長期間滞在する人向けに神宮寺グループのサイトから別荘を予約出来るサイトが新たに追加されていた。当然といえば当然だけど私みたいな庶民が気軽に泊まれる値段ではないけれど。


でも一度でいいから神宮寺グループが経営するホテルには泊まってみたいと思っていた矢先、まさか神宮寺グループの御曹司と同棲することになるなんて……!


「着いたぜ。ここが俺たちが今日から住む家だ」

「お、お世話になります」


「緊張しなくていい。どうせ俺も日中は仕事で家にはいねぇし」


そうは言っても、神宮寺さんが御曹司って聞いたら嫌でも緊張してしまう。そして、私が案内されたのはタワマンの最上階。窓はガラス張りで外の景色がよく見える。


これが神宮寺さんがいつも見ている景色?本当に私とは別世界で生きている人だ。
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