気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 もごもごと思ったことを伝えると、志信さんがふっと笑った。

「じゃあ、俺が何者だったら手伝わせてくれるんだ?」

 変なことを聞く人だと素直に思った。

 気分を害したようにも見えないし、喜んでいるようにも見えない。純粋に私の反応を探ろうとしている姿がよくわからなくて、回答に詰まった。

「うーん……私の気持ちの問題なので、なんとも言いづらいです」

「それを言い出すと、俺も君に料理をさせるのは気が引ける。面倒ごとに巻き込んでおきながら、家事まで押しつけるなんて最低だ」

「そんなふうに思ってません」

「俺も同じだ。君が気にしているようなことについて、なんとも思っていない」

 同じと言われるとそうかもしれない気になるし、違うと言われたらたしかにと思う気持ちもある。

 志信さんと話していると混乱しそうで、最終的には諦めた。

< 105 / 276 >

この作品をシェア

pagetop