気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「わかりました。そういうことなら、今度一緒に作りましょう」

「楽しみだな。そのための機械や道具は必要か? それなら今日、買いに行こう」

 私たちのデート先が決まった瞬間だった。



 大型のショッピングモールに来ると、私はさっそく雑貨屋に向かった。

 棚に並んだかわいらしい小物を見ていたら、志信さんが覗き込んできて言う。

「調理器具の専門店には行かないんだな」

「本格的すぎますし、なによりお値段が張るので」

「俺がいるんだから遠慮しなくていい」

 ぎょっとして志信さんを振り返ると、心底不思議そうな顔をしている。

 今日の買い物は全部自分が財布を出すつもりだ、と思っているのがすぐにわかった。

「私の趣味の道具を買うようなものですよ。自分で買わせてください」

 ああ、と私の戸惑いを理解したように彼が小さくうなずく。

< 106 / 276 >

この作品をシェア

pagetop