気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 それなのに『冷めている』なんて志信さんを傷つけかねない言葉を投げつけて去るのは、ひどいと思う。

 もやもやというよりも、小さな苛立ちを覚えた。

「交際中は、今みたいな時間の過ごし方をしていたんじゃない?」

「そう大きくは違わないな」

 やっぱり、と納得する。

 基本的に志信さんは受け身の人なのだ。求められれば応じるし、そうでないなら必要がない限り積極的な行動をしない。

 志信さんがどんな人なのか、急に輪郭がはっきりしてきた。

「ただ――」

 彼がさらに言葉を続けようとした時、ふと見覚えのある姿が視界に入った。

 まさかと思う前に勝手に身体が緊張でこわばる。

「優陽?」

 すぐに気づいたのか、顔を覗き込まれた。

 だけど答える前に、向こうから〝彼〟が近づいてくる。

「もしかして優陽か?」

 最後に会った時よりも髪色が明るくなった宗吾くんだった。

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