気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「別に、怯えているわけじゃ……」

「手だって冷え切っている。少なくとも会えてうれしい相手じゃないだろう。……たしかにあんな男に会えてうれしいわけもないが」

 まだ握ったままの手を、ぬくもりを分け与えるように両手で包み込まれた。

 宗吾くんに触れられるかもしれないと思った時はあんなに嫌だったのに、不思議と志信さんのぬくもりは嫌じゃない。

「わけありなのはわかった。……もう大丈夫だ」

 そのひと言が優しすぎて、さっき堪えた涙がこぼれそうになった。

「……ありがとう。あの人は……昔からああなの」

 彼の話を志信さんにする日が来るとは思っていなかった。

 こうなった以上は説明したほうがいいだろうと、さらに言葉を重ねる。

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