気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 彼がこんなふうに私を特別扱いするのは、今に始まった話ではないのに。

 自分を知ってほしいと、彼を知りたいと踏み出したから、これまでと違う気持ちで聞こえてしまうのだろうか。

 ありがとうと礼を言うのもおかしい気がして、もごもごと言葉にならない返答になる。

 その後の時間も繋がれたままの手を意識してしまい、なにをしたのかいまいち頭に入ってこなかった。



◇ ◇ ◇



 夜は俺が行き先を決める番だった。

 事前に予約してくれていたレストランは、藍斗が経営する高級ホテルにあり、素晴らしい夜景を堪能できる場所だ。

 まるでミニチュアの街を眺めているのかと錯覚する三十八階からの景色は、俺の望んだ通り、優陽の驚きと感動の表情を引き出してくれている。

 急な連絡だったにもかかわらず、個室を用意してくれた藍斗には後で感謝の連絡を送っておこうと思った。

< 190 / 276 >

この作品をシェア

pagetop