気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「もともとこの辺りを開発する計画があったんだ。何年も前から決まっていたんだが、いろいろあってとん挫しそうになっていてな。伝手で噛ませてもらった。まだ大学に通っていた頃の話だ」

「えっ、そんなに前から?」

「言っていなかったか? 学生の時に起業しているんだ。水無月家の『医者にならなかった息子』として興味を持ってくれる人が多かったから、コネも伝手も作るのは難しくなかった」

 だとしたら、彼は両親に傷つけられただけではなく、恩恵も受けられたのだ。

 もっとも、興味を持った人々を味方につけたのは志信さんの力によるものだけれど。

「私が思っているよりずっとすごい人だったんだ」

「運のいい人間だという自覚はある」

 志信さんの指が、私の指に絡まって手のひらが密着する。

「人生最大の幸運は、君と出会えたことだな」

 好意的な響きをこれでもかと含んだ声は、私の胸を簡単に騒がせた。

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