気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 箱の中からアクセサリーを取り出し、左右の耳につけてみる。

 鏡の代わりにそばの窓ガラスに自分を映すと、夜景の美しい輝きが耳に灯ったかのようだった。

「そうしたら今日一日、これをつけてデートできたのに……」

 その瞬間、勢いよく抱きしめられた。

「し、志信さん?」

 ふわりと、さわやかで少し刺激的な香りが鼻孔をくすぐる。

 初めて彼と出会った時に感じたあの香りだと気づいた瞬間、一気に全身が熱くなった。

「優陽」

 彼らしからぬ衝動的な行為に驚いて顔を上げると、温かなものが唇に触れた。

 唇には感じたことのないやわらかさを受けて、理解するよりも先に鼓動が高鳴り始める。

「どうして……」

「君が、かわいいから」

 私にキスをした志信さんが至近距離でささやく。

「君がかわいいからキスをしたくなるんだ」

 混乱が落ち着く前にもう一度唇を塞がれた。

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