気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 志信さんについて少しは理解したつもりだったのに、またわからなくなるとは思わなかった。

 悶々としながら何度も寝返りを打ち、目を閉じて眠ろうとする。

 そうしているうちに無意識に唇を触ってしまい、枕に顔を埋めた。

 どれだけの時間が経っただろう。

 どんなに頑張っても眠れないため、諦めて身体を起こし息を吐く。

 部屋の暗闇にすっかり慣れた目が、隣のベッドで横になる志信さんを捉えた。

「志信さん……もう寝た?」

 尋ねてみるも返事はない。

 寝息らしい寝息は聞こえてこないけれど、どうやらもう眠っているようだ。

 いつもと違う夜を意識しているのは私だけだと思うと、悔しさにも似た思いが込み上げる。

 思わず溜息をついて、再び彼に背を向けた時だった。

「寝ていないほうがよかったのか?」

 ぎしり、とベッドがきしむ音が聞こえたかと思うと、後ろから抱き締められる。

< 214 / 276 >

この作品をシェア

pagetop