初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋
「琴葉が同じ部署のやつに告白された。で、今はその返事をしに行ってる」
「マジ?誰?」
「伊藤」
「あー、あの甲子園に出たっていう真面目な好青年か」
洋輔の伊藤の評価に思わず眉間にしわが寄った。
伊藤は真面目で人当たりもよく、気配りができて空気も読める。
そんな男が琴葉に告白したという話を聞いて、表向きは平静を装ったけど、内心はかなり動揺していた。
琴葉に関しては許容が狭くなるというのは自分でも自覚している。
伊藤だけでなく、今頃になって琴葉が彼氏と別れたという話が社内で広まっていて、密かに彼女に注目が集まっていた。
琴葉自身はそのことに気づいていないみたいだけど。
つい先日、どこの部署か知らないが、男二人が休憩室で琴葉のことを話していたのを耳にした。
『営業部の羽山さん、彼氏と別れたらしいぞ』
『マジ?あの子、可愛いよな。彼氏と別れたなら俺にもチャンスがあるかな?』
『どうだろう。まず、俺らのことを認識していないだろ』
『それな。彼女の同期とか営業部の誰かに頼んで合コンでも開いてもらう?』
『知り合うにはそれしかないだろ』
そんな会話が聞こえ、お前らが琴葉の話をするんじゃねぇよ、とイライラしたばかりだ。
「でも、琴葉ちゃんはお前と付き合っているから断るだろ」
「ああ。そう言っていた」
「だったらいいじゃねぇか。何?琴葉ちゃんが伊藤に寝返ると思ってんの?」
自信ないのか?なんて言って鼻で笑われた。