初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋

「いや、そんなことは微塵も思っていない。だけど、琴葉が男と二人きりで会うことが嫌なんだ」
「なんだそりゃ。ただの焼きもちかよ。心配して損した」

洋輔はそう言って会議室の机に頬杖をつく。
からかいたいだけで心配なんてしていないだろ、と喉まで出かかったけど留めておいた。

「なあ、恭二。そんなに気になるなら迎えに行けば?返事するだけなら、今から行けばワンチャン間に合うんじゃないのか?どうせ、琴葉ちゃんのことだから自分からお前に連絡してこないだろうし。どこで伊藤と会うのか場所は聞いているんだろ?」
「ああ。会社近くのコーヒーショップだ」

琴葉からメッセージが来ていたのは、今から十五分前。
洋輔の言う通り、これから会社を出たら間に合いそうだ。

「分かってるならさっさと行けよ。いい加減、うざいんだよな。スマホ見てため息をつくお前」

ニヤリと笑われ、チッと舌打ちする。
こういうところが嫌なんだよ。

「うるせぇな、言われなくても行くよ。じゃあ、さっきの件まとめといて」
「了解。じゃあな」

洋輔と別れ、一度営業のフロアに戻って帰り支度を済ませて会社を出た。

琴葉と帰りの時間が合う時は一緒に帰っている。
だけど、今日は打ち合わせがあったので、いつものように送迎をお願いしていた。
今から運転手に連絡して俺が迎えに行くことを伝えるか。

駐車場に着き、車に乗り込んだ。
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