初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋
外回りに行っているので、彼に話を聞こうにもそれが出来ない。
「電話、私が出てみるよ」
「すみません、お願いします」
外線二番のボタンを押して電話に出た。
「お電話変わりました、羽山と申します。あいにく担当の春川が不在で帰社予定が十五時となっています。それで、先ほど電話を受けた者からカタログがまだお手元に届いていないという話をお聞きしたんですが」
『そうなんだよ。お宅の担当に頼んだのにまだ持ってこないんだ』
「申し訳ございません」
『悪いが、あの若造じゃ話にならん。約束した時間にも遅れて来るし、確認の連絡をしても返事が遅い。それが一度や二度ならこっちも我慢できるけど、何度も続くとあの担当には不信感しかない。前の担当者はその辺はしっかりしていて、細やかなフォローもしてくれていたんだよ。山田くんに戻してもらうことは出来ないのか?』
ノズカさんのお怒りはもっともだ。
アポの時間に遅れたり、レスポンスが遅いなんて以ての外だ。
新入社員じゃあるまいし、そんなミスを繰り返すのは春川くん個人の問題だけではなく、うちの会社の信頼も損なう恐れがある。
きっとノズカさんはギリギリまで我慢してくれていたんだろう。
ふと、春川くんが担当している他の営業先にも迷惑をかけている可能性があるかも知れないという不安が頭をよぎった。