初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋
「羽山さん、ありがとう。春川には再教育が必要か……。担当者の件はこっちで引き取るよ。悪いんだけど、カタログをお願いしてもいい?」
「はい。速達で郵送するようにノズカさんには伝えているので星野さんにお願いしています」
「分かった。よろしく頼むよ」
「はい」
軽く頭を下げて、その場を離れた。
「山田、ちょっといいか」
「はい」
「ノズカの件で相談があるんだ」
久住部長は山田さんと営業部のミーティングスペースに入って行った。
このミーティングスペースは社内での小規模な打ち合わせなどで利用している場所だ。
それより、春川くんが出先から戻ってきたら久住部長と山田さんにこってり絞られるんだろう。
一度失ってしまった信頼を取り戻すのは、相当な努力が必要だ。
再教育が必要とか言っていたので、春川くんには何かしらの措置があるのかもしれない。
電話対応で神経をすり減らしたので、一息つくために飲み物を買いに行こう。
席を立って休憩スペースに向かった。
***
売上伝票を整理し終わり、ふと時計を見たら十七時半過ぎ。
もうすぐ定時だなと思っていたら内線が鳴って受話器を取った。
「はい、第二営業の羽山です」
「お疲れ様です、受付の青山です。三条様という女性の方が羽山さんに会いたいと仰っていて」
「えっ、私に来客?三条……?」
青山さんの言葉に首を傾げた。