初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋

「久住くんてまだ独身なんでしょ?会社の御曹司だし、狙ったら玉の輿に乗れるかもね」
「えー、私らじゃ無理でしょ?」
「だよね。同級生っていっても話したことないし。そういえば、麻生さん離婚したんだね」

離婚した麻生さん?
彼女たちの話はまだ続き、私は内容が気になってしまい息を潜めて聞き耳を立てた。

「さっき本人が言ってたけど、元旦那とは性格の不一致らしいよ。あっ、莉子って学生の時に久住くんと付き合ってたよね」
「付き合ってた!もしかして、元サヤとかあるんじゃない?同窓会で盛り上がってやけぼっくいになんとやら……かも」
「あり得る。さっきも二人で話してるのを見たけど、美男美女でお似合いだったわ」

楽しげに談笑していた二人組の女性は用を足すことなく、化粧室を出て行った。
きっとメイク直しに来たんだろう。
人のいる気配がなくなったのを確認し、個室から出た。

まさか、こんなところで恭二くんやその元カノの話を聞くとは思わなかった。
恭二くんと付き合っているのは私だけど、美男美女でお似合いとか元サヤという言葉が胸に突き刺さる。
目の前の鏡を見ると、いつもより少し大人びたメイクの顔の私が映っていた。

せっかく綺麗にしてもらっているのに、他人の言葉に落ち込む必要はないよね。
手を洗いながら息を吐きだして気持ちを切り替え、その場を後にした。

< 174 / 180 >

この作品をシェア

pagetop