初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋
「莉子、口は禍の元って前も言ったよな。サービス精神旺盛なのはいいが、すぐに調子に乗って余計なことを言うのは止めろよ」
「分かってるって。元旦那にもよく言われてたことだし。これからは気を付けるわ」
「じゃあ、俺らは行くよ」
恭二くんは再び私の手を握って歩き出した。
「さっきは悪かったな。あいつら適当なことばかり言うから」
「ううん、大丈夫だよ」
「誓って言うけど、今も昔も莉子には恋愛感情は全くないからな」
「分かってるよ」
真顔で言う恭二くんがおかしくて思わず笑みがこぼれた。
「琴葉、食事まで時間があるからちょっと寄り道してもいい?」
「うん。どこに行くの?」
「ちょっとね」
そう言ってエレベーターに乗ると、恭二くんは操作盤の三階のボタンを押した。
三階って宴会場しかないはずなんだけど……。
エレベーターが目的の階に着くと、ゆっくりと扉が開く。
ヒールが少し細めのパンプスで廊下の絨毯を踏みしめて歩いていたら、ある小宴会場の扉の前で恭二くんが立ち止まった。
ここって昔来たことがある。
確か、父親に連れられてきたホームパーティーの時に利用した宴会場だ。
恭二くんが扉を開けると、高い天井には煌びやかなシャンデリアが輝いている。
真ん中に円形のテーブルがあり、そこには様々な動物のぬいぐるみが飾られていた。
導かれるようにテーブルへと歩きだす。