初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋
そして、入社してから久住部長には彼女や婚約者といった女性の影が全くないことを知った。
それはつまり、彼が大学時代に付き合っていた美人モデルの人とは別れていたということだ。
ホッとしたような、何ともいえない気持ちになった。
仕事が出来てイケメンで将来有望な久住部長は当たり前のようにモテる。
一緒に仕事をしていくうちに、久住部長のいろんな一面を知ることができた。
資料作りの件で質問すれば、分かりやすく丁寧に説明してくれたり、残業している私に『お疲れ様』と言って微糖のコーヒーを机に置いてくれた。
そのコーヒーは、私がよく飲んでいるものだった。
些細な優しさにも触れ、やっぱり好きだなという気持ちが芽生えていた。
だけど、御曹司である久住部長の会社での評価は高く、ただの部下が想いを寄せていい人ではない。
久住部長のことが気にはなるけど、彼は私のことを部下としか思っていない。
複雑な気持ちを抱えていた時、友人に誘われた飲み会に参加して幹也に出会い、付き合うことにしたんだ。
これは完全に失敗だったけど。
久住部長は私のことが好きと言ってくれた。
諦めた恋心を再燃させてもいいんだろうか。
思い切って口を開いた。
「私は小学生の頃からずっと久住部長のことが好きでした。だけど、芹くんから部長には美人モデルの幼なじみの彼女がいて私とは結婚できないよと言われたから諦めるしかなくて……」