初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋


そこに写っていたのは、首元に赤のリボン、紺のブレザーにチェック柄のプリーツスカート姿のはにかんでいる琴葉。
しばらく見ないうちに大きくなったな、なんて親戚の兄のような気分になった記憶がある。

久しぶりに芹の家に行けば、薄い水色のワンピース姿の琴葉が出迎えてくれた。

また『大好き』とか言われるんだろうか、なんて身構えていたら彼女の口からその言葉は出ることはなかった。
寧ろ俺を避けるように『友達と約束しているから』と言い、ワンピースの裾をひるがえして家から出て行った。
それを見ていた芹から『琴葉もようやく恭二を卒業したんだよ』と満面の笑顔で言われ、嬉しいような寂しいような複雑な気持ちになった。

そして、俺と莉子の偽装恋人の関係も終焉を迎えた。
突然、話があると呼び出されてカフェに行くと、神妙な顔つきの莉子がいた。
話を聞けば、『本気で好きになった人がいる』と言い、相手は十歳年上の外交官。
まだ知り合ったばかりらしく、これからその男性にアプローチしたいけど俺との偽装恋人関係がネックになっていたらしい。

莉子は、自分から言いだしたくせに勝手なことをして申し訳ないと謝罪してきた。
こちらも、大学卒業間近だったからタイミング的にもちょうどよかった。

俺たちは両者納得の上、一年に渡る偽装の恋人関係を解消した。
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