初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋

どうしたんだろうと思っていたら「嫌いになった?」と弱気な発言をする恭二くんに私はニッコリと微笑んだ。

「そんなことで嫌いになるわけがないよ。私はどんな恭二くんも大好きだよ」
「……っ、琴葉、それは反則だよ」

そう言って恭二くんは視線を前に向けたけど、彼の横顔は耳まで真っ赤に染まっていた。
私が幼い頃、何度『大好き』と伝えてもサラリとかわされていた。
カッコいいのに、こんな可愛い表情を見せてくれる恭二くんこそ反則だと思うけど。

車は市街地から離れて三十分ぐらい経つと、周りは一気に畑などが広がってのどかな風景に変わる。
着いた先は、なみかわ農園という観光農園。
季節によって、イチゴ、桃、ぶどう狩りが出来て、秋は芋掘り体験もできる。
農園入口にある直売店では、様々な野菜や果物を販売していた。
農園で採れた物だけではなく、近隣農家の朝採れ野菜や加工品などが並んでいて大人気らしい。
 
着いたらちょうど予約の時間だったみたいで、そのままぶどう畑に向かった。
ここの農園は、収穫したぶどうは量り売りで持ち帰ることができる。
私はハサミとかごを持ち、園内のシャインマスカットの中からハリやツヤがあり目に留まった一房を収穫した。

お昼前になり、ランチを食べるために農園カフェに来た。
和風モダンな店内は落ち着いた雰囲気があり、一歩外のテラス席に出れば目の前は農園が広がっていて解放感に溢れている。
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