冷酷社長が政略妻に注ぐ執愛は世界で一番重くて甘い
アルバムを手に取った香蓮はベッドに腰を下ろし、中を開く。
幼い玲志を眺めているはずなのに、大人になった玲志の声や眼差しが脳裏をよぎり、ページをめくる手が止まった。
「私。玲志さんのこと、すごく好き……」
胸が苦しくなった香蓮は、思わず目を閉じて胸元をぎゅっと手で握りしめる。
今までは思い出の中にいる彼を捜していたのに、冷静沈着な社長の彼や、ふたりきりの時に見せる色っぽい玲志を想っていることに気づく。
香蓮の中の玲志は、完全に塗り替えられたのだ。
ベッドに座ったまま胸の苦しみを感じていると、自室の扉がコンコンッとノックされる。
「香蓮。お疲れさま」
「玲志、さん……」
扉の向こうから聞こえてきた声に緊張が走る。
恐る恐る彼女が扉を開くと、すでにラフなTシャツとスエットに着替えた玲志が彼女を見下ろした。
「疲れてるところすまない。少し今、話せるか?」