叶わない恋の秘めごと~堅物上司の好きな人~

清家さんがとんでもないことを言い出すものだから、その場で飛び上がりそうになった。

どうしてそんなことを!昨日味方だって言ってくれたのに、あの優しい清家さんはどこに? 今ここで、新堂さんに強く否定されたら、立ち直れないんですけど……。

一人完全にパニックになっていると、新堂さんは私に一度視線を向けた後、清家さんに向かって重たそうに口を開いた。

「俺は……」

だけれどタイミングよく鳴りだした電話によって、その続きは遮られてしまった。一同はハッとする。

「あ、ごめん。俺の携帯だ」

この空気の元凶である、清家さんの携帯が鳴り響いている。清家さんはデスクに置いていたスマホを取りに向かうと「もしも~し」と軽快に言いながら、事務所を出て行ってしまった。新堂さんとの間に気まずい空気が流れる……。

「あ、えっと……お昼ですし、お茶でも淹れますよ」
「倉田、ちょっと来い」
「えっ?」

ノーと言わせない勢いで、新堂さんが私を給湯室の方へと引っ張る。その力はあまりにも強く、しかも気が付いたときには新堂さんに壁に押し付けられていた。

目の前には、怖い形相で私を見下ろす新堂さんが……。

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