叶わない恋の秘めごと~堅物上司の好きな人~
◇◇◇
迎えた約束の日。
あんな素敵な女性がいるのもかかわらず、新堂さんはいったいどんなつもりで今日ここに来たのだろう。そんな疑問を抱きながら、迎えに来てくれた新堂さんの車に乗り込む。
「お、おはようございます」
しどろもどろに挨拶をすれば、新堂さんが笑顔で「おはよ」と返してくれた。その瞬間、ドキッと胸が高鳴る。こんな調子で彼を諦められるのか……。
あの後、散々泣いて、諦めようと心に決めたけれど、こんな風に笑顔を向けられると、覚悟が揺らいでしまう。
「なんか今日、雰囲気違うな」
「え?」
「可愛い」
ストレートに言われ、頬が緩む。やっぱりこんな風に褒められると嬉しい。里穂にコーディネートしてもらってよかった。
「どこ行く?」
「あ、あの。映画とかどうでしょう?」
「いいな。ちょうど観たいのがあったんだ」
新堂さんは端的に返事をすると車を走らせた。
またこうやって助手席に乗せてもらって、夢みたいだ。
あの女性もこんな風に新堂さんの隣に乗ったのだろうか。新堂さんは、彼女に想いを告げたのかな……? スマートに運転をする彼の隣で、あれこれと妄想を膨らませてしまう。
映画館に着くと、チケットを受け取り席についた。映画館に来たらポップコーンとコーラが必須だと言う新堂さんは、それを食べながら始まるのを待っていた。
「ん? 何? そんなにジロジロ見て」
「あ、いえ」
横顔が素敵すぎて見惚れていたなんて言えない……。