叶わない恋の秘めごと~堅物上司の好きな人~

「ほら、欲しいなら倉田も食えよ」

だけれど新堂さんは、私がポップコーンを物欲しそうに見ていると思ったらしく、強引にそれを口に入れてきた。

「んっ……」

しかも突然のことで動揺してしまった私は、新堂さんの指までくわえてしまった。

「おい、人の指まで食うな」
「す、すみません!」

新堂さんはクスっと笑うと、私の口から指を抜き取った。それだけでかぁーっと頬が熱くなる。なんだかすごく不埒……。でも新堂さんは全くと言っていいほど動揺していない。これが経験値の差なのかな。

「せっかくだから、カップルシートにすればよかったな」

……え? 予想外の発言に、キョトンとしてしまう。

「そこだったら、もっと密着できたのに。とりあえず今はこれで我慢するか」

新堂さんはどういうわけか、私の手を握ってきたのだ。しかもこれは俗にいう、恋人繋ぎというやつだ。

「お前の手、小さすぎ」
「し、新堂さんの手が大きんですよ」

そう言えば新堂さんはいつものように、口の端を上げて笑う。暗がりで見るその顔は破壊力抜群で、ますます私の胸をときめかせた。

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