執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
(え、今バカって言った? でも、綺麗とも……)

喜んでいいのかわからない。褒められたのか、けなされたのかも。

でも、確かに哉明の顔は誠実で、嘘をついているとは思えない。

「父親のためとはいえ、一緒にいて気持ちいいと思えない女とは結婚しない」

(つまり、私と一緒にいて『気持ちがいい』と……?)

愛とか恋とかぼんやりとしたものを言われるより、よっぽどわかりやすい気がした。

きっと今の美都のような心地よさを、哉明も抱いてくれているのだろう。

「……ふふ」

思わず噴き出してしまったのは、安心したからかもしれない。

(私は哉明さんにとって『気持ちのいい女』なんだ)

美都としては、悪くない評価だ。

小さく肩を震わせて笑い続ける美都を見て、哉明は珍しく驚いた顔をする。

「なんで笑うんだよ。これまでぴくりとも笑わなかったのに、俺が真剣にプロポーズをした途端に爆笑するなんて、どういう了見だ」

思えば哉明の前で破顔するのは初めてだったかもしれない。

「安心したんです。愛しているだなんて言われなくて。いかにも嘘っぽいですし」

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