執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
かと言って正直に『父親の指示通りに結婚する』と言われても、それはそれで寂しい。

美都自身を見て選んでくれた、その事実に心が軽くなった。

哉明はまいった顔で美都の手を離す。

「安堵の笑い……ってことでいいか?」

「はい。なんというか、嬉しかったのだと思います」

哉明がさらに目を丸くする。

「嬉しいって……。お前は、その顔でさらりとそういうことを……」

不意に視線を逸らし、口もとに手を当てる。

なんだかもごもご言っているが、不満があるわけではなさそうなので深くは問い詰めないでおいた。

「それより、さっきバカって言いましたよね?」

「それこそ愛情表現だよ」

また『愛』か。哉明の言う愛とやらはどうも胡散臭い。

「さっきのリングとネックレスも、『愛』ですか?」

「もちろん」

得意げな哉明に、美都は今度こそ笑顔を消して、スンとした顔で言う。

「哉明さんこそ大バカです。私の気を引くためにあんな高価なジュエリーを買うなんて。しかもネックレスまで」

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