執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
もしかしたら美都が気づいていないだけで、この一週間――哉明と夜をともにするようになってから、様子がおかしいのかもしれない。

(ご心配をおかけして申し訳ないな)

なにしろ大須賀は困っている市民を救う警察官だ。美都に優しくしてくれるのも彼らしい善意だろう。

美都はデスクに戻ると、お弁当と水筒を持って九階に向かった。

自販機のそばにカウンターテーブルとチェアがいくつか並んでいて、そのうちのひとつに大須賀が座って待っていた。彼は「喜咲さん」と笑顔で手を挙げる。

「お待たせしました」

「あ、喜咲さんはお弁当ですか?」

「はい。簡単なものではありますが」

クロスを広げると、中には桜色のランチボックス。

お弁当の中身はご飯と玉子焼き、豚肉と野菜の炒め物、昨晩の夕食で残った煮物などが詰まっている。

「わあ! お料理、上手なんですね」

「いえ。そんなたいそうなお料理ではないので……」

「でも玉子焼き、形がすごく綺麗です。うちの母が作る玉子焼きはいつもグズグズで」

苦笑いを浮かべる大須賀。成形しづらい玉子焼きと聞いて、ふと思いつく。

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