【完結】転生したら乙女ゲームのラスボスだった 〜愛する妹のためにラスボスポジション返上します〜

 ロイドは放心するユリシーズをそのままに、再び俺に向き直る。

「ねぇアレク」
「お、おう。何だ?」
「今回以外にも、原因不明の体調不良になったことは?」

 そう尋ねられ、思い返す。――いや、思い返すまでもない。
 目覚める前の数日間の俺は、怪我やら吐き気やら何やらで、ぶっ倒れてばかりだったのだから。

「あー……あるな。でも別に原因不明ってわけじゃ。馬車に酔ったのと、鉱山で人が死んだって言われて驚いただけで……」

 ――リリアーナとセシルのデートを尾行して気分が悪くなったことは、流石に伏せておこう。

 そう思いながら上記のことを答えると、ロイドは更に質問を重ねる。

「馬車酔い? それはいつどこで? どんな状況だった?」
「いつって……この街に来る前日、ノースフォードを出てすぐの森で……」
「それ、グレイウルフが出たっていう森だね。そこには瘴気が充満してたはずだ。本当は馬車酔いじゃなくて、瘴気に酔ったからじゃないの?」
「…………」
「鉱山で人が死んだと聞いて気分が悪くなったのも、街に流れ込んだ瘴気を吸ったせいだったんじゃない?」
「………………」

(いや、何だその、伏線キレイに回収しちゃいましたーみたいな話。何も面白くねぇぞ)

 だが、確かにロイドの言う通りかもしれない。

 俺が馬車酔いを起こしたのは、グレイウルフの森に入ってからのこと。道が悪いからかと思っていたが、グレイウルフを倒した後は馬車に酔うことはなかった。
 それが、リリアーナが森の瘴気を浄化したからだったとしたら?

 それによく思い返してみれば、馬車酔いが治ったのは俺が馬車から落ちた後、リリアーナが治癒魔法をかけてくれたタイミングだったはず。

 つまり、リリアーナは謀らずも、俺の体内の瘴気を浄化してくれていたのかもしれない。
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