first date
「どうしたの?食べないの?」

「いや、とってもおいしそうに食べるなあって思って」

 食べてるだけなのに、ほっこりしてしまうのはなぜだろう。

「口の端にソースついてますよ」

「ん?」

 私は自分の口の端を指差して示したが、彼は反対の方を紙ナプキンで拭っていた。

「そっちじゃないです」

 私は自分の持っていた紙ナプキンで口の端についたソースを拭ってあげた。

「ありがと」

 ん?自分は今何を…?

「わっ、髪にもついちゃった」

 彼はどうやら不器用らしい。髪にソースはつけるし、バーガーを食べ進めるうちにパテが後ろからはみ出て、レタスやトマトもバンズからこぼれ落ちてしまう。具がこぼれる度に「あらっ」とか「げっ」とか言っている。そんな姿がなんだかかわいいと思えてしまうのはおかしいだろうか。

彼は早々と食べ終え、頬杖をついて私が食べるのを見つめている。いや、向けている視線は私にではない。彼はいかにも物欲しそうな顔で私のアボカドバーガーに視線を落としているのだ。

「食べますか?」

「いいの!?」

 彼の目が途端に輝き出した。私はまだ口をつけていないところを彼の口元に差し出すと、彼は少し控えめにパクリと一口食べた。

「ん、おいしい~。アボカド合うねぇ。俺のもあげればよかったね」

 私は横に首を振った。

「実はもうお腹いっぱいで…」

「じゃあ、食べてあげようか?」

「食べかけだけど、いいんですか?」

「全然かまわないよ。ポテトもいらない?」

「どうぞどうぞ」

 ラージサイズを食べたというのに、まだ食べられるとは。食欲旺盛だ。
< 15 / 20 >

この作品をシェア

pagetop