first date
「このあとどこか行きたいところある?」

「じゃあ、デートにはベタだけど、映画なんてどう?」

「お、いいね。何か見たい映画ある?」

「特に見たい映画があるわけじゃないけど、行ったその時間におもしろそうな映画があれば…」

「そうだね。じゃあ一旦車に戻ろうか。荷物もあるし、映画館は少し離れたところにあるし」

 私たちは彼の車に戻り、その車で映画館へと向かった。

 たどり着いたのは5階建ての大きなショッピングモールだった。初めて来る場所だ。自分ひとりでは道に迷いそうなほど広い。飲食店やアパレルショップだけでなく、スポーツパークや屋上には観覧車まである。今日は平日だけあって人は少ないような気がした。この施設の4階に映画館はある。

 ふたりで電光掲示板に映し出される映画のスケジュールを見上げた。

「何がいいかなぁ…あ!」

アクション、恋愛もの、ヒューマンドラマ…その中にある一つのタイトルを指差して興奮気味に彼は言った。

「あれ見たい!」

 彼が指差したのは、光の国から来た巨人が悪と戦うという誰もが知っている特撮ものだった。半世紀くらい前から長きにわたってシリーズ化されてきた作品だが、今回はCGを駆使してストーリーも現代風に描かれている。なんて、知ったような口ぶりだが、世間では話題になっている映画なので多少は情報として耳に入ってくるのだ。

「あ、でも絢ちゃんは特撮もの好き…?」

 彼は眉毛をへの字にして、上目遣いに不安げな顔で私を見つめた。

「いいですよ。俊矢さんが見たいものを見ましょ」

「やった!」

 彼は小躍りしてニコニコ顔だ。まるで子どものようでかわいい。

 私はレモンティー、彼はアイスコーヒーをお供に座席に着席した。
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